50年前、無名の土地がシリコンバレーになった背景 夜8時半以降は夕食を食べるところがなかった
東洋経済オンライン / 2024年1月18日 11時0分
アドバンスド・マイクロデバイス(AMD)のジェリー・サンダースといったCEOは、週ごとにロールスロイスや最新鋭メルセデスを次々に買った。そしてもちろん、アップル社のスティーブ・ジョブズやマイクロソフト社のビル・ゲイツは、新種の企業リーダーの見本となっていた。若く、型にはまらず、とんでもなく金持ちなのだ。
旗振り役となったロナルド・レーガン
さらに時代の代名詞となった人物、ロナルド・レーガンがいた。大きな政府に対する救世主、規制緩和市場の擁護者、「起業家の時代」と自称したものの旗振り役だ。
この大いなるコミュニケーターにとっては、アメリカの自由な事業精神を何よりも表している場所や産業は、シリコンバレーだった。そして彼は特にその美徳を外国の聴衆に向けて自慢してみせるのに熱心だった。
1988年春の歴史的なソ連訪問に際し――これは14年ぶりのアメリカ大統領訪ソで、ほんの数年前にソ連を「悪の帝国」と呼んだ指導者としては驚くべき動きだった――レーガンはモスクワ国立大学の計算機科学の学生600人の前に立ち、アメリカ製マイクロチップの栄光をほめそやしてみせた。
巨大なウラジーミル・レーニンの銅像を背にした壇上で、大統領は群衆にこう語った。ハイテクのこうした奇跡は、アメリカ式民主主義が可能にするものの最高の表現なのだ。思考と情報の自由は、コンピュータチップとPCを生み出したイノベーションの波を可能にした。
ハイテク起業家たち(「君たちと年齢は同じくらいだぞ」、と彼は学生たちを戒めた)ほど、アメリカの自由な事業精神――特にレーガンが大好きな税金の低い規制の弱いもの――を実証しているものはない。彼らは郊外のガレージでいじるところから始めて、最後はすさまじい大成功をおさめたコンピュータ企業を率いることになる。
その日モスクワで、次の革命は技術的なものになる、とレーガンはさらに説明した。「その影響は平和的なものだが、根本的に世界を変え、古い思いこみを叩き潰し、生活を一変させる」。そしてそれを先導するのは、「専門家がバカにするようなアイデアを掲げて、それが人々の間で大人気を博するのを眺める」だけの勇気を奮い起こした若いテクノロジストたちなのだ。
ヒッピーとレーガンの意見が一致した場所
「パーソナルコンピュータ運動」と呼ぶものの現場にいた男女の多くは、60年代カウンターカルチャーの子供たちだった。その左派的な政治は、レーガンの保守主義からはこれ以上ないほど遠いものだった。
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