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「微分は実生活で使わない」と思う人に欠けた視点 現役東大生が解説する数学の重要性と面白さ

東洋経済オンライン / 2024年1月18日 12時10分

微分は実生活のどういうところで使われているのでしょうか(写真:Rina/PIXTA)

世の中のさまざまな仕組みを数学を使って解明することで、物事を⾒る視野が広がります。今回は高校数学で学ぶ「微分」について、現役東大生の永田耕作さんが解説します。

大人でも間違って答えてしまう距離の問題

皆さんは「微分」「積分」という言葉を聞いたことはありますか?

おそらくYesと答える人が多いでしょう。しかし、「微分積分とはどのようなものか説明してください」と言われたらどうでしょうか。微分積分が数学の中でいったいどのような概念で、何に使われているのかを理解している人は少ないのではないでしょうか。

まずは、以下の問題を考えてみてください。

停まっていた車に乗ったあなたは車のアクセルを踏み、時速30kmまで加速させました。そして、その速度で2分間運転をした後、ブレーキを踏み、再び車を停めました。運転をする前に停まっていた車の位置から進んだ距離を答えてください。

この問題に、難しい数学の専門用語はまったく使われていません。一見、小学校の文章題でやるような、速さと時間と距離の問題です。しかし、実は大人でも間違って答えてしまうことが非常に多いのです。

時速30kmを分速に直して1分間当たりに車が進む距離を求め、それを2倍すればよい、と思った人が多いのではないでしょうか。

その計算をすると、答えは以下のようになります。

30km×1/60=500m

500m×2=1000m=1km

しかし実はこの問題の答えは1kmではありません。なぜこの計算では答えを出すことができないのか。ここに、これから説明する「微分」の考え方が隠されているのです。

もしこの問題が「時速30kmで車を2分間運転した場合、車はどのくらいの距離を進みますか?」という文章題の場合は「1km」が答えになります。もしくは、車が一瞬で時速30kmまで加速し、ブレーキをかけた瞬間に停まることができる場合もこの答えは正しいのですが、残念ながらそんなことはありませんよね。

速度計に表示されている時速が0km/h(停まっている状態)から始まってが1km/h、2km/h、3km/h……大きくなっていき、逆に減速する場合は30km/hの状態から29km/h、28km/h、27km/h……と小さくなっていくでしょう。

その速度変化にどのくらいの時間がかかったか、つまりどれだけの勢いで加速、減速したかによってこの問題の答えは変わってくるのです。

微分は関数の「変化率」を表す操作

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