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意外と知らない「推し」と「萌え」決定的な違い 情報革命でファンの在り方は大きく変わった

東洋経済オンライン / 2024年1月18日 17時0分

多くの人が「推し」がいる状態となっている昨今。「推し」はどのようにして一般的な活動になったのでしょうか(写真:metamorworks/PIXTA)

2021年に「推し活」がユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされ、多くの人が「推し」がいる状態となっている昨今。「推し」はどのようにして一般的な活動になったのでしょうか。本稿では精神科医で『「推し」で心はみたされる?』の著者である熊代亨氏が、「推し」の概念がどのように社会に浸透していったのかを解説します。

AKB48のファンが使っていた「推し」

もともと「推し」はアイドルファンの間で使われていた、日本のサブカルチャーの流行語のなかでもローカルな言葉でした。たとえば、2010年前後に大人気だったAKB48のファンたちが「推しメン」などと言っていたのを覚えている人もいらっしゃるでしょう。

それが、気が付けばアニメやゲームの世界でも頻繁に使われる流行語になっていった格好です。

流行語大賞に選ばれるぐらいですから、「推し」が比較的最近になって広く用いられるようになったのは間違いないでしょう。私の見知っている限りでは、「推しを推す」という表現がサブカルチャーの広い範囲で用いられるようになり、地方の小中学生にまで浸透したのは、2020年以降、せいぜい早く見積もっても2010年代後半以降と見受けられます。

それでは2010年代以前、日本のサブカルチャーはどんな様子だったのでしょうか。

SNSが流行し始めた頃、人々はまず「いいね」に注目しました。サービスが始まったばかりのTwitterでは、「いいね」はFavoriteと呼ばれていて、もらったFavoriteの数をカウントする「ふぁぼったー」というアプリを見て多くの人が一喜一憂していました。

Facebookも似たり寄ったりです。SNSはユーザー個人が他人に注目されたい、認められたい、評価されたいという願望をかなえるもので、「いいね」されたい、フォロワーを増やしてたくさんの人に観てもらいたいものでした。

「いいね」が欲しいという気持ちは、いわゆる承認欲求を充たしたいという気持ちです。SNSは、私たちの持っている承認欲求を可視化し、SNSを始めたばかりの人々は「いいね」が欲しい気持ちのままにTwitterやインスタグラムのアカウントを運営しました。

「インスタ映え」が流行語大賞になったのは2017年のことです。自撮り棒が最新の流行だった頃、誰もが表現者になれると思えた時代、なるべきだと思い込んでいた時代は確かにあったのです。

また、誰かや、何かを好きだと表現する言葉も、「推し」ではありませんでした。SNSが登場する直前の2005年には「萌え」という言葉がユーキャンの流行語大賞に選ばれました。

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