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ドイツ「最大のタブー」を揺るがすイスラエル攻撃 ユダヤ人とイスラムの団体がそれぞれ語る懸念

東洋経済オンライン / 2024年1月19日 8時30分

パレスチナ人中央評議会は、常時活動しているのは100人で、社会、文化的活動が中心であり、政治的な団体ではない、と言う。

議長のハッジョ氏の両親はパレスチナ出身で、本人はシリア・ダマスカスの難民キャンプで生まれた。パキスタンで船乗りとしての訓練を受けた後、船員として世界を回ったが、30年以上前にベルリンに来てからは、建物管理会社を経営してきた。ドイツ国籍を取得している。

ハッジョ氏も、「民間人を殺害するのはテロリズムだ。そこに争いはない。民間人と罪のない人間の殺害は起きてはならず、それを批判する」と認める。「ハマスはパレスチナの代表者ではない。我々はハマスのブローカーではない。とてもじゃないがハマスの支配下で生きたくはない」とも言う。

ただ、「われわれ(パレスチナ人)は占領下にある。占領者に対する戦いがテロリズムかどうかは疑問だ。パレスチナ人は自分の土地を防衛する権利がある」と述べて、ハマスの活動に抵抗運動としての側面もあるとの認識を示した。

イスラム教団体の2人が共通して批判するのは、欧米諸国の「二重基準」だ。

マツエク氏は、「ウクライナでもガザでも、罪のない民間人が犠牲になっているが、ロシアは侵略戦争を行い、イスラエルは防衛の権利の行使と、違う扱い方をされている。ドイツはイスラエルを支持しアラブ諸国からの信頼を失っている。ドイツは政治的信頼で大きな資産を持っており、もっと活用できるはずだ。中立の立場に立ち、紛争を終わらせることに努力すべきだ」

ハッジョ氏も「イスラエル・ネタニヤフ政権の閣僚の1人がガザに原爆を落とすと言った。オスロ合意(1993年)を無効にしたのは(ラビン元首相を暗殺した)ユダヤ人の極右だが、西側諸国はそうした事実を大きく取り上げない」と不満を口にした。

ロシアによる侵略と、イスラエルによるハマス掃討作戦を同一視する議論は、西側諸国にとっては受け入れられない。他方、イスラム教徒の間やアラブ世界では「欧米の二重基準」は頻繁に耳にする主張だ。

マツエク氏は、ドイツ社会の分断が拡大している現状を指摘する。

「民主主義に対する信頼の欠如、体制に対する不信が進み、ドイツ社会がバラバラになり漂流することが危険だ。危機が、極右、極左、イスラム過激派といった勢力を強めることを恐れる」

反イスラムの排外主義を正当化する動きも

戦後ドイツは、ナチ・ドイツによるホロコーストを最大の歴史的教訓としてきた。従って、反ユダヤ主義と見なされる歴史認識や活動に対しては、法的手段も動員して、徹底して芽を摘み、表面化させない努力を続けてきた。

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