ドイツ「最大のタブー」を揺るがすイスラエル攻撃 ユダヤ人とイスラムの団体がそれぞれ語る懸念
東洋経済オンライン / 2024年1月19日 8時30分
しかし、ハマスのテロを機に街頭で公然と反ユダヤ主義のスローガンを叫ぶ人々が現れた以上、こうした強力なタブーは形骸化していくことも考えられる。
この筆者の疑問に対して、マツエク氏は「右派ポピュリズム政党の『ドイツのための選択肢』(AfD)などによる、反ユダヤ主義の罪を拒否するプロセスはすでに進んでいる。それにイスラム教徒からの(反ユダヤ主義に対する罪を軽減する)相対化の動きが加わっている」と、すでに変化が起きているとの見方を示した。
ナチ・ドイツのタブーが強い戦後ドイツ社会では、イスラエルの政策に対する批判は、そのまま反ユダヤ主義と見なされる傾向があった。それに対する疑念も強くなっている。
『シュピーゲル誌』は「イスラエルの政治指導者を批判すると、反ユダヤ主義との批判に晒されるが、政治合理的な批判であれば反ユダヤ主義的ではない」と指摘する。
ただ、イスラムテロを研究するラハフ氏は「イスラエルを批判する人すべてが反ユダヤ主義者ではないが、多くの批判者が反ユダヤ主義を動機としている」と、反ユダヤ主義を抑え込む規範が薄まることへの懸念を示す。
こうした反ユダヤ主義的な傾向が広まることへの警戒と同時に、マツエク氏は反イスラムの動向にも警戒する。
「興味深いことに(もともと反ユダヤ主義的傾向があった)右派が、『われわれはイスラエルの友人だ』と言い始め、イスラム教徒に対する排外主義を正当化しようとしている。少なからぬ人が、『反ユダヤ主義と戦う』と言って、反イスラム教、反パレスチナの排外主義を広めているようだ」
イスラエルとハマスの紛争をきっかけに生まれている社会意識の変化の行方が注目される。
三好 範英:ジャーナリスト
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
ハマス支援巡りイラン・シリア・北朝鮮を提訴、奇襲攻撃の被害者ら
ロイター / 2024年7月2日 10時47分
-
中国はウイグルやチベットの宗教弾圧継続 米国務省「信教理由に1万人を収監」と非難
産経ニュース / 2024年6月27日 7時6分
-
ドイツの反ユダヤ事案、昨年は8割超増加 ガザ紛争後顕著に=監視機関
ロイター / 2024年6月26日 13時14分
-
パリ五輪…サッカーで日本とイスラエルが対戦へ 1972年ミュンヘンの悪夢は他人事ではない
まいどなニュース / 2024年6月22日 7時30分
-
アングル:ガザ侵攻に揺れる欧州議会選、新興左派政党が受け皿に
ロイター / 2024年6月7日 14時6分
ランキング
-
1河野太郎氏、やから発言釈明 「言葉の選び方は慎重に」
共同通信 / 2024年7月3日 20時0分
-
2潜水艦修理契約で不正か=川崎重工、海自に金品提供疑い―防衛省
時事通信 / 2024年7月3日 19時51分
-
3知床沖観光船沈没事故で乗客家族らが損害賠償を求め運航会社と桂田精一社長を提訴「亡くなられた家族と残された家族の尊厳の問題」
北海道放送 / 2024年7月3日 18時5分
-
4横浜患者連続死、無期確定へ=東京高検が上告断念
時事通信 / 2024年7月3日 16時28分
-
5旧優生保護法の違憲判決を受け加藤こども政策担当相が今後の対応を発表
日テレNEWS NNN / 2024年7月3日 23時9分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください