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「退避経路は断絶?」台湾有事シナリオの盲点 通信が途絶え、現地での機微情報の接収リスクも

東洋経済オンライン / 2024年1月19日 11時40分

台湾総統選で勝利した頼清徳氏(中央/写真:AP/アフロ)

1月13日の台湾総統選では、民進党の頼清徳候補が勝利を収め、民進党が3期連続で政権を担うこととなった。一方で、総統選と同時に行われた立法委員選では、国民党が第1党となり、民進党は少数与党に転じ、「ねじれ」状態となった。

中国外務省は台湾総統選の結果を受け、「台湾島内の情勢にかかわらず、台湾が中国の一部だという基本的な事実は変わらない」と強調した。また今年11月には、アメリカ大統領選挙が実施され、その結果が台湾有事リスクに影響するとの見方が強い。

日本企業の備えは?

このような状況下において、日本企業は台湾有事を念頭に“備え”を進めておくべきだろう。

地経学研究所が2021年から毎年行っている経済安全保障に係る企業アンケートの最新版「2023年 経済安全保障100社アンケート(暫定速報)」において、台湾有事に関する企業の対応状況は以下の通りだった。

・台湾有事のシミュレーションを計画している(39.7%)

・台湾有事のシミュレーションを終え、対応計画を準備している(25%)

・台湾有事のシミュレーションを終え、対応計画に沿った準備が整っている(7.4%)

アンケートに回答した企業の多くは台湾有事に向け、シミュレーションを計画・実施しており、思いのほか多くの企業が取り組んでいると認識したのではないだろうか。

この台湾有事のシミュレーションでは、台湾有事におけるシナリオを描き、企業対応の“穴“を可視化し、対応策を検討するもので、台湾有事への備えとして有効な手段だ。

では、台湾有事のシナリオはどのようなものなのか。

昨年7月、「日本戦略研究フォーラム(JFSS)」に、国会議員や元自衛官、アメリカ、台湾から有識者らが参加し、台湾有事を想定したシミュレーションを開催した。

想定されたシナリオでは、中国によるサイバー攻撃が台湾、日本を標的に行われ、官公庁のサーバーがダウン、鉄道や航空のサイトが使用できなくなるほか、沖縄電力や九州電力などのインフラにも被害が及ぶ。さらには先島諸島周辺で海底ケーブルが切断され通信に障害が起きるなど、インフラが機能不全を起こし、社会に大きな混乱をきたすといったものだ。

また、軍事侵攻による統一だけではなく、軍事的圧力により台湾を屈服させたり、台湾を中国国内と同様に見なす法の制定に端を発した“強制的”な平和統一を目指すシナリオも想定されるため、企業としては平和統一のシナリオについての検討も求められる。

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