JAL「初めて尽くしの新社長」を待つ2つの難題 CA出身で現場経験は豊富だが未知数の経営手腕
東洋経済オンライン / 2024年1月19日 7時0分
1月17日、日本航空(JAL)が本社で開催した定例会見。当初、登壇者は赤坂祐二社長(62)と総務本部長を務める青木紀将常務(59)の2名のみの予定だった。
だが、会見が始まる直前に急きょ広報担当者が人事案件の資料を配布。同時に壇上で慌ただしく椅子が1つ追加された。その席に座ったのが、代表取締役専務の鳥取三津子氏(59)だった。
「本日開催した取締役会で新役員体制の一部について決定をした。4月以降の新しい社長には代表取締役専務執行役員の鳥取三津子が就任する」。赤坂氏は会見の冒頭でこう宣言した。自身は4月1日をもって、代表権のある会長に就任する予定だ。
「まさかこの時期に発表するとは思わなかった」とは業界関係者の弁。赤坂社長は次期社長指名にあたって羽田空港の衝突事故との関係は「まったくない」と語ったが、「JALのCA(客室乗務員)の対応が評価されているタイミングで鳥取氏へのバトンタッチを公にするのは巧妙だ」と舌を巻く。
「JAS組」社長としても初
鳥取氏はJALにとって「初めて尽くし」の新社長となる。女性、さらにCA出身者が社長に就くのはいずれも初となる。加えて鳥取氏は2002年にJALと経営統合した日本エアシステム(JAS)の出身だ。経営統合後、社長にはJAL出身者が就任してきた。初の「JAS組」社長でもある。
赤坂氏が社長に就任した翌2019年、鳥取氏は客室安全推進部長に抜擢。その後、とんとん拍子に出世を遂げてきた。2020年には執行役員、2022年には常務執行役員、2023年には代表取締役専務というスピード昇格だった。
CA出身で安全推進部長なども歴任してきただけに現場の経験は豊富といえる。「自分でグイグイ引っ張るのではなく、気配りを絶やさないタイプ。まじめにコツコツと仕事をするため、周りからの信頼も厚い」。JALの社員やOBは鳥取氏をこのように評する。
赤坂氏は「これからの経営は社長が役員や社員を引っ張っていくというより、いかにいろいろな人の力を引き出せるかにかかっている」と鳥取氏に期待を寄せた。
対する鳥取氏は「一緒に議論をしながら突破口を見つけていくスタイルでやってきた。能力が引き出せる職場にしていきたい」と答えた。
JAL関係者によれば、有力な社長候補はほかに2人いたもようだ。1人は取締役専務執行役員の斎藤祐二氏(59)。「営業企画のエース」と同氏を知る関係者は評する。2023年4月からはグループCFOを務めている。
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