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JAL「初めて尽くしの新社長」を待つ2つの難題 CA出身で現場経験は豊富だが未知数の経営手腕

東洋経済オンライン / 2024年1月19日 7時0分

もう1人が、会見に同席していた青木氏だ。現在、総務本部長を務めているが、2022年までは日本トランスオーシャン航空(JTA)の社長だった。先述とは別のOBは「JTAで社長経験があり、外から見たJALを知っている。現場からの評価も非常に高く、人望が厚い」とみる。

経営企画や子会社経営の経験はない

一方で鳥取氏は、経営企画や子会社の社長などの経験がない。現社長の赤坂氏は整備士出身だが、2014年から子会社のJALエンジニアリングの社長を務めた。パイロット出身の植木義晴現会長もJAL傘下のジェイエアで副社長を経験している。

鳥取氏を社長に選任した理由をJALは「お客さま視点を持ちながら社員の力を最大限に引き出し、新しい時代のリーダーとし てJALグループの企業価値を持続的に高めていくことができる人材と考えている」と説明する。

未知数といえる経営手腕については、「取締役会、指名委員会での議論などの詳細はお控えさせていただきます」とだけ回答した。現在予想されるのは、「赤坂氏が会長として経営に目配りをし、斎藤氏や青木氏が実務をサポートすることになる」(あるOB)体制だ。

鳥取氏は社長着任早々、いくつかの経営課題に直面することになる。

まずは収益力の回復だ。コロナ禍の前、売り上げ規模はライバルのANAホールディングスに圧倒されていたが、営業利益率はJALのほうが高い水準を誇っていた。しかしコロナ禍を経て両社ともに黒字化した2022年度からは、収益性もANAのほうが高くなっている。

「稼ぎ負けたのは貨物だけ」。赤坂氏は2022年度の決算会見で収益性が逆転した要因についてそう述べた。実際、2022年度はコンテナ不足など海上物流の混乱を受けて航空各社の貨物事業が絶好調で、貨物事業に強いANAが業績を優位に回復させた。

しかし2023年4~9月期時点での業績を見ると、収益力の差は貨物だけではない実態が浮かび上がってくる。

2023年度に入ると貨物市場は停滞する一方で、訪日客を中心に旅客が大きく回復し、チケット単価も高騰している。両社の収益源となっている国際線でも差がつきそうだ。

整備などの立て直しも急務

次に現場の立て直しだ。1月2日の羽田空港衝突事故における乗客対応では評価をあげたが、2023年12月末に子会社のJALエンジニアリングが国土交通省から業務改善勧告を受けている。

【2024年1月19日9時45分追記】初出時の「業務改善命令」を「業務改善勧告」に修正します

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