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ウクライナへ車いす1000台、支援活動の一部始終 日本のボランティアが奮闘、新たな取り組みも

東洋経済オンライン / 2024年1月20日 9時0分

2023年9月に第4便305台が届けられた北東部ハルキウ市は、ロシア軍の攻撃を受けた前線に近い都市の一つだ。街の人々は「自分たちは鉄とコンクリートでできている」と胸を張るが、届け先のサルチフスキー区社会サービス地域センターだけでも「車いすを必要とする人が最大1500人いる」と聞かされ、気が遠くなった。それがこの戦争の現実だ。

イスラエル・ハマス戦争で親イラン武装組織フーシ派がイエメン沖で27隻の船舶を無差別攻撃したため、第5便は南アフリカ喜望峰回りとなり、ポーランド・グディニャ港着は2週間遅れの2024年2月16日の予定。アジア・北欧航路のコンテナ価格は1週間で115%上昇した。

コロナ禍で暴騰したコンテナ価格はその後、10分の1以下に下落。その間に車いすの大半を送ることができたのは幸運だった。

ウクライナの状況は2023年6月開始の反攻が不発に終わり、冬になって次第に厳しさを増している。

慈善団体FFUで車いすプロジェクトを担当するカリーナ・カピタニュークさんから第5便の出荷直前、妻の史子宛てに電子メールが届いた。

「長い間連絡できなくて本当にごめんなさい。メールに問題があって、昨日ようやくすべて復旧しました。ですので、たくさんたまっている手紙に少しずつ返事をしています」

ウクライナの首都キーウでは空襲が増え、カリーナさんの自宅から1キロメートルのところで爆発があり、破片で多くの家や通信手段が被害を受けたという。幸いなことにカリーナさんも家族も無事だった。

「12月はいつも私にとって待ち遠しい月です。2人の祖母と母の誕生日、聖ニコラウスの日にクリスマス。そしてニューイヤーがやって来ます」(カリーナさん)

しかし、ロシアによる電力インフラへの攻撃が続いた2022年12月がどのようなものだったかを思い出し、カリーナさんは不安な気持ちで2023年の12月を迎えた。

キーウへの空襲が絶えず、突然、電気が止まる。計画停電ではない。水道が止まることもある。停電になると、電気ストーブと電気湯沸かし器は役に立たない。1、2食分の食事を常備しておくようになったというカリーナさんはこう語った。

「冷めても食べやすいものを用意します。魔法瓶にお湯や温かいお茶を入れておくと、停電の時でも温かい飲み物を口にすることができます。この12月はつらいです。外はつねに曇っていて空気が張り詰めています。家を出る前に空襲の状況を見ておかなければなりません。ミサイルの脅威がある間は公共交通機関が動かないので、出退勤に大きな支障を来します」

空襲警報が鳴る前に爆発音がとどろく

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