株価高騰で「投資しなきゃ」焦る人を待つ落とし穴 「新NISA熱」で損しないために気をつけたいこと
東洋経済オンライン / 2024年1月20日 11時50分
「お金の本質を突く本で、これほど読みやすい本はない」
「勉強しようと思った本で、最後泣いちゃうなんて思ってなかった」
経済の教養が学べる小説『きみのお金は誰のため──ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」』には、発売直後から多くの感想の声が寄せられている。本書は発売1カ月半で10万部を突破したベストセラーだ。
著者の田内学氏は元ゴールドマン・サックスのトレーダー。資本主義の最前線で16年間戦ってきた田内氏はこう語る。
「みんながどんなにがんばっても、全員がお金持ちになることはできません。でも、みんなでがんばれば、全員が幸せになれる社会をつくることはできる。大切なのは、お金を増やすことではなく、そのお金をどこに流してどんな社会を作るかなんです」
今回は、年初からの株価高騰で「自分も投資しなきゃ」と焦る人を待つ「落とし穴」を解説する。
「乗り遅れた」と焦る人の盲点
2024年、3万3000円で始まった日経平均は3万6000円近くまで上昇している。
【写真】経済教養小説『きみのお金は誰のため』には、「勉強になった!」「ラストで泣いた」など、多くの読者の声が寄せられている。
株価上昇の理由として、「利上げ懸念の後退」とか「日本企業の稼ぐ力への期待」などとも言われているが、いちばんの理由は新NISAの影響だろう。
NISA口座で投資したときの非課税枠が拡充されたことで、日本株にも個人の投資マネーが流れ込むと言われている。
連日聞こえてくる「バブル崩壊後の日経平均の最高値更新」という言葉に、「自分だけ乗り遅れてしまったんじゃないのか」「今からでも株を買ったほうがいいのか」と不安に思っている人も多いことだろう。
小説『きみのお金は誰のため』では、投資は1つの重要なテーマになっていて、主人公優斗の母もNISAを始めようとしている。
(優斗が、本を)選び終えて振り返ったとき、すぐ隣の棚では、福田のおばさんと母が二人して本を吟味していた。
「ねえ、これはどうかしら。税金のことも書いてあるのよ」
おばさんが手にした本の帯に、「初心者」「投資」という単語が見える。二人の前にある本棚には、お金の貯め方や増やし方の本が並んでいた。
会計を終えたあとも、二人はしばらく話し込んでいて、その内容は優斗の耳にも入ってきた。
福田書店もネット通販や電子書籍に押されて将来への不安を感じているそうだ。おばさん自身もお金の勉強を始めたらしい。母もまた、年金だけだと老後は安心できないともらしていた。
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