勘違いから一転、新種新属の恐竜を発見するまで ウズベキスタンまで駆けつけて得られた成果
東洋経済オンライン / 2024年1月21日 19時0分
「恐竜化石を見つけましたよ」という留学生からの情報提供で、まだ誰も恐竜化石を見つけたことのないウズベキスタン・フェルガナ盆地に向かった田中康平・筑波大学生命環境系助教。
化石と思われたものの正体は「木の化石」で心底がっかりするが、向かった首都タシケントの地質博物館であるものに目が留まる。肉食恐竜の上顎の骨は、これまでにウズベキスタンで確認されたどの肉食恐竜よりもサイズが大きかった。ということは……!?
田中助教の新刊『最強の恐竜』から、知られざる恐竜学者の日常をお伝えする。
前編:恐竜学者「化石がある」ならウズベキスタンへも まさかの"ボウズ"から一転、新種の恐竜発見
陸上の支配者だったカルカロドントサウルス
ウズベキスタンの地質博物館にあった上顎の化石は、上顎骨と呼ばれる頭骨のパーツである。皆さんにもある、上唇がある部分の骨だ。上顎骨は頭の左右にひとつずつあるが、博物館に保管されていたのはその左側である。
すでに歯は抜け落ちてしまっているが、歯の収まっていた歯槽が合計で8個残されていた。残された上顎骨の長さは24.2センチ。欠けてしまっている部分の長さも考慮して推定すると、元々の長さは46センチほどだったと考えられる。
帰国してから、私は茨城県つくば市にある国立科学博物館の収蔵庫へ出かけた。国立科学博物館なら東京・上野にあるでしょ、と思う方もいるかもしれないが、実は研究者のオフィスや研究施設、そして膨大な数の標本を収蔵する標本室はつくばにある。私の職場である筑波大学と目と鼻の先なのでとても便利だ。
これまでの分析で、ウズベキスタンで観察した上顎骨はカルカロドントサウルス類という肉食恐竜のグループに属する可能性が考えられた。系統解析という、骨の特徴をコンピュータ上で解析し、恐竜どうしの系統関係を構築する方法で調べた結果だ。
カルカロドントサウルス類には大型種がたくさん含まれていて、全長10メートルを超えるカルカロドントサウルスやギガノトサウルスなどが有名だ。白亜紀後期の前半までは、カルカロドントサウルス類は北半球と南半球の両方に生息していたことが知られている。
ティラノサウルスのなかま(ティラノサウルス類)が勢力を拡大する前は、カルカロドントサウルス類が世界進出を果たしており、陸上の支配者だったのだ。
特に南半球ではおそらくティラノサウルス類が不在だったので、頂点に立つ捕食者として巨大種がたくさん出現している。中にはティラノサウルスのように前あしが矮小化した種(メラクセス)もいて、収斂進化したことが分かっている。
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