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損保大手4社「覆面座談会」で見えた残酷な実態 「不正請求は日常茶飯事」「在庫車を強制購入」

東洋経済オンライン / 2024年1月22日 8時0分

Cさん 修理をめぐって損保ジャパンが「完全査定レス」という仕組みを導入していたことには驚いた。アジャスターが細かくチェックしなくても保険金を支払いますなんて、そんなどんぶり勘定が本当にまかり通るのか。保険会社として、なんて危ないことをしているんだと思いました。

損保ジャパンには、故障に伴う自動車の修理費を最大100万円まで補償する商品があるそうですが、故障の不正請求を見抜くのは、事故の不正請求を見抜くことより何倍も難しい。その故障が経年劣化によるものなのか、故意によるものなのか、本当に見分けがつきにくい。モラルリスクが高すぎて、うちは故障については最大10万円までの補償が精いっぱいです。

Dさん 入庫件数を稼ぐために、BMへのDRSで故障補償をうまく利用していたという話を、社内で聞いたことがあります。入庫件数に応じて、各損保に自賠(自動車損害賠償責任保険)が割り振られるので、損保側も件数を稼ぐことに必死なわけです。

[完全査定レス]損保社員の立ち会いなどによる損害査定を省略して、保険金を支払う仕組み。

[アジャスター]損害査定業務を専門とする損保の社員。

[モラルリスク]契約者や保険金受取人が故意に事故を起こすなどして保険金を不正請求するリスク。

[DRS]損保が自動車事故を起こした契約者に、修理のための指定・提携工場を紹介すること。

BMの店舗から「今月あと3台入庫してくれないか」といった依頼が来ることもよくありました。そのとき事故車の玉がなければ、故障車で賄うといった具合です。

BMとしても、故障車はウェルカムだったはず。BMは各工場に、車両1台当たり14万円前後の修理費用を取るようにというノルマを設定していました。そのノルマが、靴下にゴルフボールを入れて故意に車体を傷つけ、修理費用や保険金を水増し請求する、ということにつながっていったわけですよね。

故障補償の対象となるのは、エンジンなどの不具合で走行不能になった車両です。なので、修理費用は高額になる可能性が高い。BMとしても、故障補償の車であればどんどん入庫してくれ、というスタンスだったように思います。

Eさん うちは営業部門が強い。あるときアジャスターがBMからの請求に疑義があると指摘したら、「何を言っているんだ。BMさんに謝れ!」と、BMを担当している営業がアジャスターの元に怒鳴り込んできたという話を聞きました。今となっては、営業のおまえがまず謝れよと思います(笑)。

保険料のカルテルは当たり前

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