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損保大手4社「覆面座談会」で見えた残酷な実態 「不正請求は日常茶飯事」「在庫車を強制購入」

東洋経済オンライン / 2024年1月22日 8時0分

Aさん 毎年11月にはボージョレ・ヌーボー、年末になればクリスマスケーキやおせち、節分が近づけば恵方巻、大型連休前には映画の前売り券などの注文書が社内で回ってきます。注文書を見るたびに、ため息が出ますね。もちろん強制ではないものの、営業の大変さを皆知っているので、協力する社員は多いですよ。

Eさん ある不動産デベロッパーは、営業協力の実績を表計算シートで管理しているという有名な話があります。自分たちの施設やサービスをどれだけ利用したかをきっちり「監視」して、次期契約の引き受けシェアに反映させるんですね。そうした歪んだ取引を求められることに苦悩して、営業担当者が心を病むことが過去にありました。

Dさん 営業協力という面でいえば、損保において最も強烈なのが、トヨタ(自動車)をはじめとする系列ディーラーへの営業協力ではないでしょうか。

まず損保の営業担当者が業務で使う車は、基本的に車検を利用せず、車検の期限前にディーラーで買い替えます。これは基本中の基本です。それから営業の新人はディーラーで売れ残った在庫車を、ほぼ強制的に個人用として買わされていました。配属になって自分の机に行ったら、車のキーが置いてあったとか、カタログに付箋が貼ってあったというのは、自動車ディーラーへの営業を担当している人にとってはよくある話です。

Fさん ちなみにうちの役員は、新人のときにエメラルドグリーンのクーペを強制的に買わされて、「なんだこのカナブンみたいな車は」と絶望したそうです(笑)。

愛人と使うホテルの代金を払っておく

Eさん さらに言うと、ディーラーの親密取引先からスーツや食品を買う、新車のフェアが催されるときは駐車場の誘導係をする、なんていうのは日常茶飯事。完成車メーカーが協賛するスポーツイベントがあれば動員をかけ、土日構わず観戦に行って顔を出したとアピールする。新店舗の土地を探す、果てはディーラーの社長が愛人と使うホテルの部屋を探して代金を払っておくなんていうとんでもない話も、同僚から聞かされました。

Fさん スーツでいうと、ディーラーには親密先のアパレル会社から、1着当たり5割程度のキックバックがあると聞きました。200万円の新車を売っても利益は十数万円しかないと聞きますから、ディーラーとしてもそれぐらいがめつく商売をしないと、経営が成り立ちにくいのが実情のようです。

Aさん 大手のディーラーには、損保の社員が出向します。出向者の人件費負担は、損保とディーラーでほぼ半々。年収800万円とすると、ディーラーは400万円の人件費で損保社員をこき使うことができる。こんなに都合のよいことはないので、出向者をどんどんよこしてくれ、とディーラーはルンルンで言ってきますよ。

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