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「ある男の転落死」裏側に潜む"夫婦の秘密と嘘" 仏映画「落下の解剖学」で描かれる人間の複雑さ

東洋経済オンライン / 2024年1月22日 13時0分

『落下の解剖学』は2月23日よりTOHOシネマズシャンテほか全国順次公開©2023 L.F.P. – Les Films Pelléas / Les Films de Pierre / France 2 Cinéma / Auvergne‐Rhône‐Alpes Cinéma(©Carole-Bethuel ©2023 CURIOSA FILMS- GAUMONT - FRANC )(東洋経済オンライン読者向けプレミアム試写会への応募はこちら)

人里離れた雪山の山荘で起きた、とある男の転落死。殺人の容疑者として浮かび上がったのは人気作家として広く知られる妻だった。

【写真】「落下の解剖学」のシーン

裁判で次々と暴露されていく夫婦の秘密と嘘。その裁判を見守った人々は誰もが疑心暗鬼の渦の中に“落ちて”いった。いったいこれは事故なのか、自死なのか、それとも殺人なのか――。

カンヌなど数々の賞を受賞

昨年5月に行われた第76回カンヌ国際映画祭で、最高賞にあたるパルムドールを受賞。さらにアメリカのアカデミー賞の前哨戦ともいわれるゴールデン・グローブ賞で4部門にノミネート、2部門(脚本賞、非英語作品賞)を受賞した注目のフランス映画『落下の解剖学』が2月23日よりTOHOシネマズシャンテほか全国順次公開となる。

事件は、フランスの人里離れた雪山に建つ一軒の山荘で起こった。

ドイツ人のベストセラー作家サンドラは、山荘1階のリビングで女子学生からの取材を受けていたが、階上で家のリフォーム作業をしていた夫のサミュエルが突如、とてつもない大音量でBacao Rhythm & Steel Bandの「P.I.M.P」(アメリカ人ラッパー、50Centの大ヒットアルバム「Get Rich Or Die Tryin」収録曲のインストゥルメンタルカバー曲)を繰り返し流し始めた。

夫が大音量で音楽を聞くことは「いつものこと」だと苦笑いを浮かべるサンドラだが、このままでは会話もままならないということで、取材はまた後日に仕切り直し。学生は家を後にする。

それからほどなくして、家の前で頭から血を流した夫のサミュエルが、雪の上に倒れているところが発見される。第一発見者は、視覚に障がいを持つ11歳の息子ダニエル。

検視の結果、死因は事故、もしくは第三者の殴打による頭部の損傷であることが明らかになる。そして現場の状況から、容疑者として浮かび上がったのはサンドラだった。有名作家が関わる事件ということもあってか、過熱気味な報道が繰り広げられる。

そして時が過ぎ、いよいよ裁判がはじまる。傍聴席には、息子のダニエルの姿もあった。裁判では、検察の厳しい追及や、数々の証言者によって、夫婦の秘密や嘘が次々と暴露される。

ダニエルの心は傷つけられていたが、それでもしっかりと耳を傾けることを決意する。いったい何が真実なのか、裁判は混沌とした状況に陥っていたが、そんな中、一度は証言を終えていたダニエルが「もう一度証言したい」と願い出る――。

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