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「こども誰でも通園制度」理想実現までの高い壁 利用枠「月10時間以上」だが現場は保育士不足

東洋経済オンライン / 2024年1月23日 7時0分

在園児のために保育士配置を改善するにも、「こども誰でも通園制度」で在宅児の支援をするにも、保育士不足が障害となっているということだ。自治体間、施設間、事業間で保育士を奪い合うような状態では、適材が確保できず、保育の質の低下につながる恐れもある。

国はこの間、保育士不足の解消のため、処遇改善に力を入れてきた。2022年度の賃金構造基本統計調査によると、保育士の年収は、全国・全産業計・男女平均からは106万円低いが、全国・全産業計・女子の平均には3万円差まで追いついてきている。さらなる処遇改善と負担軽減を急がなくてはならない。

少ない子どもにお金をかけよう

3年前までは、子どもの出生数が減っても、女性の就業率・保育の利用率が上昇し、保育の申込み児童数は増加していた。しかし、この3年ほどは保育の申込み児童数そのものが減少傾向にある。

コロナの影響も言われたが、少子化の急速な進行が保育ニーズの増加をしのいだのだ。保育施設の経営者の間でも危機感が高まっている。しかし、今回の施策が、単に定員の空きを埋める救済策であってはならない。

ここまで、待機児童対策のために量の整備が優先され、狭いスペースに子どもを詰め込み、保育士配置も増やせないまま走ってきた。保育現場や子どもに負担を強いてきたと言ってもよい。

子どもの数が減少するこの局面では、まず、保育士の処遇や労働条件を改善すること、それによって保育士が理想の保育や子育て支援を追求できるような環境を実現することが先決だ。それが保育士不足を解消する。それによって保育現場は在宅の子どもと保護者を温かく迎え、支えるために必要な力をもつことができる。

待機児童対策に用意してきたお金を、今こそ保育の質(人件費)に振り向けること。異次元の子育て支援を実現するためには、そこをはずしてはならない。

普光院 亜紀:「保育園を考える親の会」アドバイザー

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