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「奨学金450万円」借りた女性が中国で就いた仕事 男尊女卑、モラハラ夫、コロナを乗り越えて…

東洋経済オンライン / 2024年1月24日 12時40分

紆余曲折を経て、昔から夢見ていた中国に渡った戸上さん。しかし、異国での生活は予想以上にハードなものだった。

「先に夫が上海で暮らし始めて、その数カ月後にわたしが子どもを連れていったんです。到着したのは金曜日の夜だったので、翌日からの週末は家族団らんで過ごせると思っていたのに、夫は土曜日の朝一から全体会議があるからと、仕事に行ってしまいました。しかも、翌週も残業や出張ばかりで全然家にいない……。上海は日本人向けサービスが充実しているので、中国語が話せなくてもなんとかなるのですが、それでも生活していくうちに次第に必要な場面は増えていくので、慣れるまでは本当に大変でした」

なお、戸上さんは中国に渡ってからも奨学金の返済は続いており、日本円の銀行口座から毎月引き落とされていた。2社目の外資系でそれなりに稼げたので、返済を滞りなく続けられるほどの残高の見積もりはあったという。

そうでなければ、ビザの関係上、日本人が海外で容易に働くことはできない。おまけに、戸上さんの夫は2人目の子どもを望んでいた。

「子どもの通っている幼稚園が長期休暇に入るタイミングで日本に帰って、高度不妊治療を受けていました。約半月卵子を育てる注射をし、夫が保存した精子と採卵した私の卵子を受精させて、受精卵をまた体内に戻すというサイクルの繰り返しですね。何度も妊娠に至らず、やっと妊娠してからの流産も経験しました」

「これで最後」と臨んだ治療の結果、2人目の子どもを妊娠することができた。さらに、出産後のタイミングで、奨学金の返済も終了。渡航後から続けていた中国語では、中国語の検定試験である「HSK6級(最高級)」を取得。昔からの勤勉さが実を結んだ結果だろう。

そして、子どもが託児所に入ることのできる年齢になったのを境に、政府機関の契約職員の仕事を始める。その3年後、彼女は友人の紹介で、中国国営企業での日本顧客対応の仕事を見つける。

「政府機関の仕事は3年契約。延長も可能でしたが、自立のためにはまだ足りない待遇。求人を探していたところ『中国語が話せなくても、日本人女性で安定性を優先。給料は2万5000元(当時の50万円程度)』という求人を見つけたんです。いざ、応募してみたところ、いろいろと物事がうまく重なり、さらに面接はすべて中国語だったのですが、自分でも驚くほどスムーズに受け答えができたので、すんなり受かりました」

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