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学生街で「700円台の油そば」が生んだ勢力図変化 原材料高騰に立ち向かう戦略がそこにあった

東洋経済オンライン / 2024年1月24日 12時0分

「油そば」の人気の理由はまずは「カスタマイズ」だろう。

豊富なトッピングや卓上調味料などで自分好みの味に仕上げられるのは油そばの圧倒的な魅力だ。スープのあるラーメンだと、味変やトッピングはやりすぎるとスープの味を壊してしまう。

一方、油そばはスープがない分、全体の味が壊れづらい。油そばを食べたことのある人であればお酢とラー油を回しかけたことがあると思うが、結構たくさん加えても味が壊れない。

様々なアイテムでカスタマイズすることで、それぞれのマイ油そばが完成するのが楽しい。同じお店に何度も通って試せる学生にはピッタリといえる。

学生街では、1000円以上のラーメンは難しい

それから、学生街のラーメン店の課題としては価格の問題がある。

ラーメンの「1000円の壁」問題で揺らぐ中、学生街においては1000円以上のラーメンはよほどの有名店でないと厳しい。

しかし、都内は地方と比べると家賃が高く、また物価高の昨今は、原材料や水道光熱費の高騰が止まらないという現状がある。結果、店側の経営も、苦しくなりがちだ。

その点、スープのない油そばは低価格で提供するには魅力的なメニューである。スープがない分、麺量も増やせるので、お腹が空いた学生でも満足できる量を提供できるのも強い。

(ポイント1)値上げしにくい学生街では、油そばは低価格で提供できる魅力的なメニューである

早大生による投票で第3位に選ばれた「麺爺」の新ブランド店「焼き油そば専門店 焼爺」では、焼き油そばを750円で提供している。

表面をパリパリに焼いた麺をヘラでバリバリ割って、下にある具と混ぜるという新感覚の油そば。

クセになる醤油ダレはまさに油そばテイストで、食感が楽しくとても美味しい。花椒粉、胡麻油、食べラー、米酢など味変もバラエティに富んでいる。

700円台で大満足。安くて美味しく楽しい。これは油そばの大きな魅力だ。

あとはこのエリアの油そば店はドミナント戦略に長けている傾向がある。

「東京麺珍亭本舗」は鶴巻町本店、西早稲田店、高田馬場店(理工キャン店)とこのエリアだけで3店舗ある。

「麺爺」グループも早稲田店、馬場下店、高田馬場店、西早稲田店と4店舗を展開(別に1店舗が休業中)。「ぶぶか」もかつて高田馬場に2店舗あった。

ドミナント戦略的に同エリア内に複数店舗出店し、各キャンパスの近くの学生を取り込んで早大全体に口コミを広げる戦略は巧みだ。共通で使えるポイントカードを作り、各店のメニューを少しずつ変えながら食べ周りをさせるのも凄い。

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