1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

学生街で「700円台の油そば」が生んだ勢力図変化 原材料高騰に立ち向かう戦略がそこにあった

東洋経済オンライン / 2024年1月24日 12時0分

(ポイント2)ドミナント戦略を取りながら、大学全体をターゲットに据えている

初めて食べた油そばの衝撃

筆者は1993年に早稲田実業学校中等部(通称「早実」)に入学した。現在早実は国分寺市にあるが、当時は早稲田鶴巻町にあった。

「東京麺珍亭本舗」が1997年にオープンし、筆者はここで初めて「油そば」というものを食べた。当時の早稲田エリアはラーメンといえば町中華が中心で、あっさりとした醤油ラーメンやタンメンがお決まりだった。そんな中で、極太麺にクセになるタレが絡んだ油そばは衝撃的だった。

その後、高田馬場の「ぶぶか」にも通い、だんだんと油そばが身近な食べ物になっていった。筆者が大学を卒業した2003年から数年も、このエリアの油そばといえば「東京麺珍亭本舗」「ぶぶか」が二大巨頭だっただろう。卒業前にはこの2店のヒットに乗じてか、早稲田に油そばの店が増えてきた。

それから20年、このエリアの油そばはほとんど意識せずにいたが、近年さらに油そば人気が過熱していると聞き、最初は本当に驚いた。しかし、今回事情を取材してみると、「なるほど、これは時代の要請なのだな」と痛感した。

早稲田の場合、近いエリアの中で4つ(早稲田・戸山・西早稲田・喜久井町)のキャンパスが隣接しているという背景があるため、他の学生街でもこのようなドミナント戦略が取れるかはわからない。

しかし、ラーメンの「1000円の壁」問題が今後も残るなかでは、値上げが容易ではない学生街において、油そばへのシフトが続いていくのは間違いないだろう。

早稲田に広がるワード「給油する」とは?

最後に、早稲田に広がる「給油」という言葉を紹介したい。早大生は「油そばを食べる」ことを通称「給油する」という。これは筆者が通っていた頃にはなかった言葉だが、油そば人気をそのまま表したような言葉だ。

その他、「キッチンオトボケ」や「わせだの弁当屋(通称わせ弁)」など揚げ物メインの定食屋でも使われる言葉だそう。

早稲田に広がるべくして広がった油そば。学生のニーズとラーメン業界の今の課題を捉えた戦略には、大きな学びがある。

井手隊長:ラーメンライター/ミュージシャン

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください