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群馬テレビ「社長解職劇」、限界に達した社員たち 過度な経費削減に問題発言、組合との攻防の末

東洋経済オンライン / 2024年1月25日 7時20分

2023年12月に社長が解職された群馬テレビ。度重なる人事異動や過度な業務内製化、報道軽視とも受け取れる社長の発言などにより、社員の疲弊や不満が限界に達していた(記者撮影)

「いきなり緊急動議が出されて、目の前にいた社外取締役は全員が賛成の手を挙げていた。一瞬の出来事で、何が起きているのか全然理解ができなかった」

【図表で見る】群馬テレビの売上高はジリジリと低下していた

群馬県地盤のローカルテレビ局、群馬テレビの前社長である武井和夫氏は、2023年末に自身に降りかかった突然の解職劇をそう振り返る。

2023年12月22日、群馬テレビの代表取締役社長を務めていた武井氏が取締役会での決議により解職された。群馬銀行出身の武井氏は2014年から群馬テレビの社長を務め、間もなく10年目を迎えるタイミングだった。

解職を決議した取締役会は16分で閉会

同日午前11時に始まった取締役会には、取締役16人が出席(1人欠席)。緊急動議の決議に当たり、武井氏は特別利害関係人に該当するという理由から、冒頭の通り賛成多数によって議場を退出させられている。

残った取締役の過半数の賛成によって武井氏の解職が決議され、武井氏が再入室した後、専務兼報道局長だった中川伸一郎氏の代表取締役就任が決議された。

当日の話題のために別の原稿すら用意していたという武井氏にとっては、まさに寝耳に水の展開。呆気にとられる武井氏を尻目に、取締役会の議事は淡々と進行し、その他の報告事項も含めてたった16分で閉会となった。

「ニュースなんか1つも流さなくたってよい」「(金銭で)協力しない市町村は取材に行く必要はない」「スポンサーは『ポチッとくん』(群馬テレビのマスコットキャラクター)が踊ってさえいれば気にしない」――。

これらは、武井氏が社長在任中に社内で発言したとされる内容の一部だ。解職の引き金となったのは、強引に進められた業務の内製化や頻繁に繰り返される人事異動、さらにはこのような武井氏の数々の発言により、現場の我慢が限界を超えたことだった。

同社関係者が「労働組合員だけでなく、管理職や取締役の中にも、誰も(武井氏の)支持者はいなかった」と話すように、この急展開を迎えるまでに武井氏に対する不信感は会社全体に広がっていたようだ。

昨年8月に組合が要求書を提出

テレビ広告の出稿が落ち込み、売り上げが減少傾向にある中、とくにコロナ禍以降、武井氏はニュース番組の時間短縮による取材費削減や、制作会社などへの外注削減といったコストカット策を急速に推し進めてきた。

「社員数が減っていく中で、全員が(複数の役割をこなせるような)ユーティリティプレーヤーになっていかないといけない」という方針の下、人事異動も頻繁に繰り返されていたという。

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