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「キャリア官僚→アマゾン」彼が15年で得た学び ロビイストの実態、どんなことが求められるか

東洋経済オンライン / 2024年1月26日 15時0分

アマゾンで15年間ロビイストとして活動した渡辺氏が得た学びとは(写真:當舎慎悟/アフロ)

キャリア官僚からビッグテックへの転職を先駆けたアマゾンの最古参ロビイストである、渡辺弘美氏。15年間の活動で学んだこと、日米におけるロビイストの違いなど、同氏の新著『テックラッシュ戦記――Amazonロビイストが日本を動かした方法』を一部抜粋・再構成する形でお届けします。

グローバルなテック企業はとてつもないスピードで新たな製品やサービスを出していく。私がアマゾンに入社した2008年当時は、書籍を中心とする物販のインターネットショッピングが中心で、国内の物流センターも千葉県に2か所あるだけであった。

【写真】『テックラッシュ戦記――Amazonロビイストが日本を動かした方法』(渡辺 弘美著)では、アマゾン最古参ロビイストの「戦術」と「哲学」を解説する。

AIやIoTなど多様な最新技術と関係

電子書籍や音楽・映像配信などのデジタルサービスはまだ開始しておらず、アマゾン ウェブ サービスというクラウドコンピューティングサービスに関しては日本に事業部門がなく社員がまだ誰も採用されていなかった。

そのため必然的に、ロビイングの仕事も一般用医薬品のインターネット販売など物販に関わる問題が主であった。

しかし、今やアマゾンが関係するサービスには、AI、ロボット、無人航空機、衛星、音声認識デバイス、IoT(モノのインターネット)など多様な先端テクノロジーが関わっており、そして新たな製品やサービスのローンチが非常に速いスピードで、今でも遅滞することなく続いている。

アマゾンの場合、「毎日がはじまりの日」という意味でのDay1という姿勢をとても大切にしているので、お客様が想像もしなかったようなサービスやプロダクトを常に生み出し続けている。

公共政策チームは、このDay1の姿勢をビジネスチームが実現できるように社内でサポートするので、ビジネス領域が拡大するにつれロビイングの業務領域は急拡大することになる。

加えて、企業自身の経済社会に対する影響が大きくなるにつれ、ロビイングの業務は法制度に関する活動にとどまらず、政府とのよりよい関係を構築するという企業のレピュテーション(評判)問題まで担うことになる。

アマゾンの場合には、欧州で納税や労働問題などに関してアマゾンをバッシングする論調が徐々に拡大したため、公共政策チームはパブリックリレーションズ(広報)チームと一体的にグローバルコーポレートアフェアーズという組織になり、アマゾンに対するレピュテーションをどう向上させるかという活動が重視されることとなった。

臨機応変に対応する「動的なロビイング」

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