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実写化「ゴールデンカムイ」驚嘆の感想で溢れる訳 原作漫画ファンも初見の人も圧倒されたこれだけの理由

東洋経済オンライン / 2024年1月26日 12時0分

一方で、アシリパは、自然に寄り添った生き方をするからこそのドライさも見せる。出会ったばかりの杉元に放つ「兵士なら戦え 弱い奴は食われる」というセリフが象徴的だ。杉元に対する問いかけが、つねに本質をついていて、どこか自分の価値観を見直させられるようなところがあるのだ。

山崎賢人演じる「不死身の杉元」の本質

そしてそんなアシリパと一緒に、金塊探しをするのが「不死身の杉元」と言われる主人公・杉元佐一だ。戦闘において無類の強さを誇り、傷の治りも早く、とにかくタフな男だ。

アクション・エンターテインメントにおいては、主人公の強さは欠かせない要素であり、そこに痛快さがあるが、杉元はキャラクターの種類としては「ダークヒーロー」と分類されるタイプだ。

ダークヒーローの定義は「社会的に正しい倫理観や問題解決の手段ではないやり方で、物事を解決する」というものだ。本来であれば、応援しにくい価値観だが、この物語がそうであるように、もっと悪い相手がいることで正当化される。

そもそも人は悪魔的なものに惹かれる一面があり、キレイゴトを並べるヒーローより、「目には目を、歯には歯を」というほうが痛快な場合も多い。王道の正義が成り立たない時代には、少しくらいダークな要素を持つ主人公のほうが好かれるのかもしれない。

ただ『ゴールデンカムイ』は、どんな手段を使ってでも金塊を手に入れると言い切る杉元が、アシリパに会って価値観を揺さぶられていく物語でもある。

杉元が金塊を探すのは、お金目的だと言うことが一貫して描かれるが、戦争マシーンのように見せておいて、裏には切実な目的があることがやがて明らかになる。

重要なネタバレを含むために詳細は避けるが、人間らしい切実な一面が明らかになることで、キャラクターとしての魅力が増したのは間違いないだろう。ちなみに、映画では原作よりこのネタバレを遅らせ、映画のラストに持っていっていることが、とても効いていた。

キャラクターの魅力はギャップの中に生まれる

キャラクターとは外的要素(見た目や所有物など)や内的要素(性格や価値観など)によって作り上げられているが、主人公においては「共感要素」と「憧れ要素」のどちらかに集約されることが多い。つまり、憧れ要素が強い主人公と、共感要素が強い主人公に分けられるのだ。

杉元の場合、不死身の強さという憧れ要素がありながら、先ほどの秘めた動機や時折見せる繊細な一面が「共感要素」として働き、魅力的な人物となっている。

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