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VisionPro予約で見えたアップルの"大きな賭け" 大規模投資の先に見据える「独り勝ち」の未来

東洋経済オンライン / 2024年1月26日 11時40分

2月にいよいよアメリカで発売されるApple Vision Pro。その購入の仕組みなどから、アップルが膨大かつ緻密な投資をしていることが読み取れる(筆者撮影)

Mac、iPod、iPhone――。業界を刷新してきた過去の名品をも上回るインパクトを与えることになるのか。

【写真で見る】重量は600グラム以上あるApple Vision Proの内側

アップルが毎年すばらしい品質の製品を開発していることは、改めて指摘するまでもない。iPhoneを中心とした製品ラインナップをより魅力的にし、ユーザーコミュニティを強化することは、アップルにとって“現時点での”収益を形作るうえで最も重要なことだ。

1月19日に予約が開始された「Apple Vision Pro」は、成熟が進んだiPhone中心の製品ラインナップを近い将来、大きくアップデートしていくための布石だ。筆者もすでに予約注文し、発売日の2月2日にアメリカで受け取る手配をしている。

しかし発売が近づくにつれ、わかってきたのは、”布石”と呼ぶにはあまりにも膨大で緻密な投資がなされているということだ。その詳細な製品仕様や購入プロセスから、Vision Proが多様な技術、知見を突き詰めた先にある製品であることがよくわかる。

SF小説のような表現も大げさではない

Vision Proは名前の通り、使用者の”視覚(Vision)”と”聴覚”に近づき、空間の表現能力を持つことで、人間とコンピュータあるいはネットワークの世界を接続するデバイスだ。

アップルはパートナー企業に、”VR”や”MR”といった言葉は使わず、”空間コンピュータ”と表現するよう求めているという。アップル流の洗練されたマーケティングの一環ととらえる向きもある。

もっとも、昨年6月に実機を体験した筆者は、”空間コンピュータ”という新しいジャンルを開拓する製品だとするSF小説のような表現も、決して大げさではないと感じている。

まず、そのスペックを簡単におさらいしたい。

表示品質は視野角1度当たりで50画素以上に達する。仮に30度ほどの画角に仮想ディスプレイを置くと1500画素で、文書などを読むには十分な品質だ。60度を超えれば3000画素となり、4Kテレビに近い感覚となる。

視力1.0の肉眼は、視野角1度当たり60画素程度の解像度と言われており、一般的な現代人の肉眼に近い緻密な表現が行える。

12個のカメラ、5つのセンサー、6つのマイクを専用チップで処理することにより、現実空間の視野と音の広がりをリアルタイムでとらえ、座標を持つ空間情報としてVision Proの中に取り込んでいる。それらが同じく座標を持ったコンピュータグラフィクスと合成され、使用者の新しい視覚として眼に投影されるのだ。

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