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VisionPro予約で見えたアップルの"大きな賭け" 大規模投資の先に見据える「独り勝ち」の未来

東洋経済オンライン / 2024年1月26日 11時40分

現実空間の再現性の高さは、他のヘッドマウントディスプレイ(HMD、ゴーグルのような装着型ディスプレイ)とは比較にならない。手元を見ても、テーブルの上にあるものを取る場合も、仮想オブジェクトを棚の上に飾るため部屋の中を歩き回った場合にも、自然に行動できた。

iPhoneカメラで頭の形状を計測

今回の予約開始に伴い、アップルはVision Proの購入者に対し、極めて複雑なフィッティングのプロセスを構築している。技術的な課題を持ちつつも、可能な限り肉眼での視野に近づけるためだ。

購入に当たっては、iPhone内蔵の「TrueDepthカメラ」(顔の形状を立体的にとらえる機能を持つカメラ)で自身の頭の形状を計測する必要がある。これにより、28種類用意されたライトシール(視覚から光を遮るVision Proと使用者の間に入る器具)から適したサイズが自動的に選ばれ、自然な装着感を実現できる。

メガネによる視力矯正をしている使用者に向けては、斜位(あるいは斜視)補正を除くほとんどの視覚補正に対応できる磁石で装着可能なレンズをZEISS社と共同開発している。単純な近視、遠視、乱視への対応だけではなく、累進度数を持つメガネの置き換えにも対応する。

この視覚補正用レンズ(Optical Insertという)を装着する使用者には、異なるサイズのライトシールが選ばれる。視野に変化が起きるためだ。

レンズパッケージに添付される2次元コードを用いて、Vision Pro本体とペアリングを行う。左右異なる補正レンズによって矯正された視野に最適化するため、OLEDディスプレイへの表示が微調整される。

メガネ使用者は、メガネを通した普段の視野に極めて近い感覚を得られるはずだが、そのためには累進レンズの複雑かつ連続して変化する視野の変化に対応した映像にしなければならない。

アップルは人間の視覚に対する医学的知見、光学技術に対する知見を基に、コンピュータ上でそれを補正するための信号処理モデルを開発し、さらには一連のフィッティングの流れをオンラインで購入者自身が行えるシステムまで開発した。

ライトシールのサイズは機械学習によって極めて高精度に選ばれるが、それでも完璧ではない場合に備え、専用アプリではフィット感をチェックできるという。万が一不満がある場合、購入後14日以内ならばオンライン、実店舗いずれでも交換できるサービスも用意している。

既存製品で開発してきた技術を凝縮

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