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大谷グローブ飾った市長は結局何がマズかったか 実は安易に触れるにはリスクが高い案件だった

東洋経済オンライン / 2024年1月26日 9時0分

一方で、別府市長がやり玉に挙げられたが、実は他の市区町村でも展示は行われている。「大谷翔平 グローブ 展示」などと検索すると、いずれも学校への配送体制が整うまでなどの一時的ながら、栃木県小山市(すでに終了)や兵庫県相生市などの公共施設で、期間限定で展示されている例が出てくる。

そもそも、大谷選手はなぜ、グローブを寄贈しようと考えたのか。その背景を考察してみると、彼は今回ただ野球道具を配るのではなく、「未来の野球選手を育てるタネ」をまこうとしたのではないかと感じる。

グローブに添えられた手紙で、大谷選手は「野球しようぜ」と呼びかけている。20歳ほど年の差があっても、スポーツのもとでは対等。小学生でも仲間になり得ることを、フランクな言葉を通して、未来のプロ野球選手たちに伝えているのだ。

だれしも対等で、だれも特別扱いしない。おそらく、そのような思いから、特定のどこかではなく、すべての小学校を対象としたのだろう。右利きと左利き、両方のグローブが送られていることからも、細かな配慮を感じる。

こうした状況証拠から考えると、大谷グローブはそもそも、「飾る」のに適していないのではないか。「大谷翔平からのプレゼント」として考えれば、そこに付加価値が生まれる。しかし、大谷選手からしてみれば、「ただのグローブ」でしかないとすれば……。付加価値はノイズでしかなくなり、送り主と受け手の認識に、大きなギャップが生じてしまう。

付加価値と言えば、フリマアプリ上では一時、グローブの「タグ」のみが出品されていたという目撃情報もあった。商品の真贋は不明ながら、こちらも同様に、本来価値が生じてはいけないポイントに、金銭的価値を見いだしていると言える。

それにしても、なぜ別府市長は炎上したのか。ひとつ考えられるのは、市区町村長といった首長が、権力の象徴と位置づけられていることだ。そもそも、首長も議員も、国政も地方政治も問わず、政治家は常に権力監視にさらされている。

炎上したケース、そうでないケース

鋭い目を向けられるのは、SNS発信も例外ではなく、内容によっては親しみやすくなる一方、炎上のリスクも秘めている。その点、今回の「大谷グローブ」は、安易に触れるにはリスクが高いように思える。

というのも、子どもたちに委ねられたグローブが、「独占的な権力維持」や「自身のイメージ向上」に使われているのでは……といった疑念が(意識していないにせよ)どこかで透けてしまえば、すぐさまバッシングの材料になり得るからだ。

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