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大谷グローブ飾った市長は結局何がマズかったか 実は安易に触れるにはリスクが高い案件だった

東洋経済オンライン / 2024年1月26日 9時0分

選ばれてナンボの市長職は、万人にチャンスを与えようとする、今回のグローブ配布と相性が悪い。だからこそ、いかに対応するかが重要となる。

その点、上で紹介したキャッチボールをする総社市長の動画は、うまく対処できたケースと考えている。

わずか10秒ながら、「すでに小学校へ届けられている」「小学生の野球技術の向上に寄与している」「みずからが市民と同じ目線に立っている」といった要素が盛り込まれている。これを無意識に投稿していたのであれば、かなりの手だれと言えるだろう。

とはいえ、首長たるもの「実物を見たい」という市民の要望もまた、尊重しなければならない。ここでも好事例を紹介すると、愛知県大府市のように、小学校が休校日で、グローブが使われない土日のみ展示するという形が考えられる。

大谷選手の名言として、よく知られるものに「憧れるのをやめましょう」がある。2023年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で、チームメイトを鼓舞し、侍ジャパンを王座奪還に導く原動力になったフレーズだ。

皮肉にもこのフレーズは、今回の騒動にも、ドンピシャで当てはまる。「オオタニサンのグローブだよ」と偶像崇拝するのも、転売をもくろんで金銭的価値を帯びさせるのも、どちらも「憧れ」を具現化した行為である。

教育の未来を預かる大人の使命

極論を言えば、大谷選手からグローブが届いたことすら、わざわざ告知しなくていいのではないか。ただ備品が3つ増えただけ。台帳に記入して、体育倉庫に放り込む。それは決して、善意で贈られたグローブを雑に扱っているわけではない。

人は成長すればするほど、ブランドや肩書といった、付加価値に踊らされがちだ。しかし時には、物事の本質を見つめ、本来あるべき価値を見いだすべきタイミングが来る。その点、大人よりも子どものほうが、むしろバイアスがかかっておらず、フラットに価値を評価できるのではないか。

大谷選手が、市長が……などといった権威を離れ、まさに憧れるのをやめた先に、明るい世界が待っている。よろいを脱ぎ捨てて、そのもの自身が持っている「本来のポテンシャル」を引き出そうとすることこそが、教育の未来を預かる、私たち大人の使命だと信じている。

城戸 譲:ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー

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