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お金・偏差値…「数字に振り回されてる人」の盲点 田内学×近内悠太「お金と贈与」トーク【前編】

東洋経済オンライン / 2024年1月27日 13時30分

でも今は、経済が成熟して物が十分にあふれてしまって、企業は不安をかきたてる「不安ビジネス」をするしかなくなっているように思うんです。

中学受験もその一例で、進学塾の説明会で話を聞くと不安をかきたてられて、私立中学に行かせなきゃって思えてくる。

近内:塾サイドはそういうトークをするでしょうね。

田内:不安を感じないためには、世の中が自分に不安を与えようとしている前提で、情報を受け取る必要があると感じています。

近内:電車で「脱毛しましょう」とか「この本が売れています!」って広告を見ると、恥や不安を煽られて騙されちゃうんですよね。

でもそこで、それがほんとうに自分に必要なものなのか自問できたらいい。だってぼくらは見ず知らずの数万人と一緒に生活しているんじゃなくて、身近な人とともに生きているんだから。よくわからない「空気」とか「世間」じゃなくて、生活の実感とか身近な人たちとのやりとりを基盤にして考える必要があります。

田内:不特定多数の人たちの評価ではなく、身近な人の言葉を意識すると、振り回されずにいられますね。

近内:僕らは社会的な動物なので、自分が「あるべき姿」からズレていることに、ものすごい疎外感を覚えてしまうんですよね。だから、恥ずかしいことですよとか、危険ですよって言われると、ついつい買っちゃうわけですよ。

物が飽和しているので、Webサービスのように、よりドーパミンが出るような依存性がある物を企業も作るわけです。

豊かに生きるためには愛が必要

田内:でも、どうすれば不安に惑わされなくなるんでしょう。

近内:本を読むことです。僕は、本を読むことは愛であり、相手の大切なものを大切にすることだと思うんですよ。

田内:どういうことですか?

近内:自分のキャパシティを超えている本を読むときって「意味がわからない」ってなることもあるけれど、何が言いたくてこの本を書いたんだろうとも考えますよね。

著者の思いを理解するためには、著者が大切にしている思いを自分も大切にするために、自分自身をアップデートしないと読めないわけです。

だから、自分のキャパシティでは読めなかったテキストを読むことは、相手が大切にしていることを、大切にすることだと思います。ちなみに僕はそれを「ケア」と定義しています。その他者の大切にしているものをともに大切にすること、それがケアだと。

だから本を読むことで自ら変わることができるんですよ。ひとに無理やり変えられてしまうんじゃなくて。ケアすると自己変容が起こるんです。そんな、ケアから始まる自己変容を愛と呼ぶんじゃないでしょうか。

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