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紫式部が女部屋に侵入した男に取った大胆行動 和歌を送った紫式部、書かれたその内容とは?

東洋経済オンライン / 2024年1月27日 11時45分

部屋に忍んできた男に紫式部が送った和歌とは(写真:NHK公式サイトより引用)

今年の大河ドラマ『光る君へ』は、紫式部が主人公。主役を吉高由里子さんが務めています。今回は部屋に忍んできた男に、紫式部が送った和歌を解説します。

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若いころの紫式部は恋愛をしていたのか

好奇心旺盛で、学問好き、他人の相談事にも乗り、的確なアドバイスをするほどに成長した紫式部。

【写真】紫式部にもゆかりがある、京都・賀茂川

平安時代と言えば、『源氏物語』の影響もあって、貴族が恋愛にうつつを抜かしているかのようなイメージがありますが、若き日の式部は恋をしなかったのでしょうか?もしくは、誰かに言い寄られたりはしなかったのでしょうか。

『紫式部集』には「方違へに渡りたる人のなまおぼおぼしきことありて帰りにけるつとめて、朝顔の花をやるとて」の詞書(和歌の前に書かれた短文、歌が詠まれた背景事情を説明する)の次に「おぼつかなそれかあらぬか明けぐれの 空おぼれする朝顔の花」との式部の歌があります。

まず、方違えというのは、陰陽道に由来する風習のことです。外出するとき、それが避けるべき方角にあたっている場合、前夜に別の方角に行って宿泊、その後、改めて目的地に行くことを指します。現代人からしたら、かなり面倒な風習であります。しかし、それを当時の人は大真面目にやっていました。

それはさておき、式部の家にも、方違えにやってきた者がいたようです。方違えのために式部が住む藤原為時の邸に泊まった男性が、その翌朝、明け方のまだ暗い時分に、為時の娘の寝室に忍んでいったと思われるのです。

その姿を式部は見たのでしょう。男も見られたことに気づいたようですが、その男は式部が歌に詠むように「空おぼれ」(空とぼけ)して、誤魔化したようです。

面白いのは、式部が先ほどの歌をその男に送っていることです。男からの返歌も載っていることから、そのことがわかります。

まず、式部の歌を訳してみましょう。「どうもはっきりしませんね。あなただったのでしょうか。それとも違ったのでしょうか。明け方の暗がりのなかで、顔をお見せになりながら、誰ともわからぬ振りをされて」というもの。

それに対し、男は「いづれぞと色分くほどに朝顔のあるかなきかになるぞわびしき」との歌を寄越したのでした。

「どちらから頂いた歌かといろいろと考えているうちに、たちまち朝顔の花は萎れ、色褪せてしまったので、見分けられなくて困っています」というような意味です。

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