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「原田泰造」が多様性系ドラマで重宝されるワケ 「おっパン」でも見せる悩めるおっさんの進化

東洋経済オンライン / 2024年1月27日 17時0分

長男・翔(城桧吏)は自室に引きこもり、鏡に向かいメイクしている。かわいいものが好きで、旧来の男らしさというものに興味がない。娘・萌(大原梓)は腐女子。妻・美香(富田靖子)の友人(松下由樹)の息子・大地(中島颯太)はゲイ。会社の部下・原西(井上拓哉)はメンズブラを着用している。

これほど身近に新たな価値観をもった人物たちがいる設定は極端な気もするが、そこはフィクションである。いや、実際、今、世界は彼らが少数派ではなくなっているのかもしれない。

ある日、沖田は息子・翔がネイルを施しているところを目撃し、驚く。男らしく、と育ててきたのに、いったいどうしたことか。でも息子には「お父さんみたいになりたくない」と激しく拒絶されてしまう。

息子は大地に感化されているのではないかと心配になるも、大地はとても好青年で、ゲイに偏見を持っている沖田に対しても寛大に接する。むしろ、沖田の事情を慮る包容力すらあって、沖田は大地と友達になって価値観をアップデートすることに。

50代のおっさんが大学生と友達になるという時点で、すでにアップデートははじまっている。娘が行っている同人活動の売り子を代わりに引き受けて、推し活する人たちの優秀さを知ったり、会社の部下・原西がメンズブラを着用していることにいささか受け入れがたいものを感じながらも、辛抱強く話を聞いて少しずつ理解を深めたりしていく。

染みるなあと思ったのは、ゲイの青年や息子の気持ちをわかろうと努めているうちに、妻との関係もよくなっていくことだ。多様性、多様性と口を酸っぱくして言われると、自分と違う世界の難しいことのように思ってしまうが、じつのところ、他者への想像力と柔軟性を働かせることが大切なだけである。

おっさんだって傷ついている

世の中のおっさんたちはこのドラマを見て参考にしてほしい、と同時に、時代に乗り遅れている人と分類され、“おっさん”とまとめられている人たちだって、沖田のようにハラスメントを悪気で行っているわけではない人たちもいるであろうということを、おっさん側でない人たちにも知ってほしい。

彼らおっさんたちはたまたま昭和に生まれ、男は男らしくが当たり前に感じていただけなのだ。信じてきたものが音を立てて崩れていく時代のなかで、おっさんだって傷ついているのだ、たぶん。

この手の多様性を題材にしたドラマは、どこか道徳ドラマのような雰囲気になりがちだ。あるいは、当事者に配慮するあまり腫れ物に触るような気遣いが前面に出ているようにも感じることがある。

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