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「原田泰造」が多様性系ドラマで重宝されるワケ 「おっパン」でも見せる悩めるおっさんの進化

東洋経済オンライン / 2024年1月27日 17時0分

その点、『おっパン』はほどよくユーモアがあって楽しめる。「普通」と言われていることとちょっと違うことをやっていることをことさら大げさにして、それを笑うのではなく、みんな真面目で、真剣に生きていて、真面目さゆえにすれ違っているだけという様がくすりと笑える。

例えば、部下とランチを食べながらブラの話をするとき、周囲に気を遣ってブラを別名に呼び替えるエピソードはおもしろかった。主人公が、自分の知らない世界の知らない作法に戸惑って、あたふたしているところがおかしみになっている。

演じている原田泰造が、お笑いトリオのネプチューンとしても活動しているからだろうか、人間のおかしみを醸し出すことがじつに巧みだ。彼が異文化への戸惑いを咀嚼して、エンターテインメントにしっかり落とし込むことで、ドラマをひとつ上質なものにしている。原田泰造の出るドラマに間違いないと推す理由はそこにある。

新しい価値観を生きる人物がハマる原田泰造

原田は以前、『生理のおじさんとその娘』(2023年、NHK)という多様性に関するドラマにも主演していた。そこで原田が演じたのは生理用品メーカーの広報マンで、生理用品に詳しく、SNSや情報番組でコメントして人気を得ているという役だった。

原田演じる主人公は、生理の話題は女性だけのものという常識を覆し、男性も知識を得て女性の理解者になろうという理念をもち、世間的には支持されているが、男手ひとつで育てた娘はそんな父に複雑な想いを抱いているというお話。これも原田が演じることで、親しみやすく見ることができた。こちらもおすすめである。

それにしたって原田泰造はなぜいま、新しい価値観を生きる人物を演じてハマるのだろう。お笑いの手法が役に立つとはいえ、芸人であれば誰もがハマるわけではないだろう。しかも彼は「曲がったことが大嫌い、原田泰造です」というある種の男らしさをキャッチフレーズにして、人気を得ていた人物なのである。

でもこの男らしさや兄貴感がじつに爽やかで、ピュアさを感じるものであった。原田泰造がまっすぐ向き合う事象はおしなべて尊く見えてくる。『おっパン』では、自分の意見をまっすぐぐいぐいと押し付けず、言いたいことをぐっと呑み込んで、若者たちの話を聞こうとする柔らかさを身に付けて、表現もアップデートされているように見える。

木俣 冬:コラムニスト

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