1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「スマホ依存」の人がハマる宿命的な脳のトラップ ドーパミンの分泌と不安に追われるラットレース

東洋経済オンライン / 2024年1月28日 15時0分

人はなぜスマホを何度もチェックしてしまうのか。そのメカニズムについて解説します(Luce/PIXTA)

集中力や記憶力、創造性を減衰させる危険があることも証明されているスマホだが、完全に手放すのはなかなか難しい。そんな中、自身も陥っていたという「スマホ依存」から抜け出すために「スマホ断ち」プログラムを開発したキャサリン・プライス氏が、スマホ依存と脳のメカニズムの関係について紹介します。

※本稿はキャサリン・プライス著『スマホ断ち 30日でスマホ依存から抜け出す方法』から一部抜粋・再構成したものです。

ドーパミンの分泌による「新しいもの」中毒

恋愛の初期の、相手に会いたくて何も手につかない感じをご存じだろうか。あれもドーパミンの作用だ。ドーパミンは目新しさを感じるたびに分泌される。

ただし目新しさが薄れると分泌量も減る。ちょうどハネムーン直後がこの段階で、そこで関係が終わることも多い。

けれど、スマホの場合はそうはならない。付きあいを終わらせようという考えすら浮かばないだろう。なにせ新しさを絶えず提供してくれるツールだ──その結果、私たちはドーパミンの連打を絶えず浴びることになる。

何かに飽きたり不安になったりしたときは……メールチェックをどうぞ。

たいしたメールがない? それなら、次はSNSを確認しよう。

まだ足りないなら、別のSNSへ。それから、また次のSNSへ。

いくつかの投稿に”いいね”をつけて、新たに何人かをフォローする。

だれかがフォローを返してくれていないかを確認しよう。

念のため、もう一度メールをチェックして……こうして、同じアプリを2度使うことなく数時間くらいは簡単に過ごせる──そのうち集中していた時間はせいぜい数秒ほどだろう。

あえて伝えておくが、ドーパミンによる高揚感と幸福感は別ものだ。ただし、それを脳に理解させられるかどうかは……どうぞたしかめてみて。

ささやかな「気分のよさ」が満載のスマホ

2、3歳の幼児の相手をしたことのある人ならご存じだろうが、幼い子供は反応が返ってくる行動が大好きだ。

壁のスイッチを押すと明かりがつく。ボタンを押すと呼び鈴が鳴る。ほんの少しでもコンセントに興味を示すと、大人が飛んでくる。

この特性から私たちが卒業することはない。いくつになっても自分の行動に反応が返ってくるのは嬉しくてしょうがないのだ。

こうした反応を心理学用語で”強化”と言う。特定の行為で何度も強化が起きると、その行為を繰り返す確率は高くなる(奇妙なことに、返ってくる反応が望ましいものでなくても強化は起きる。子供が紙粘土を口に入れたので叱ったとする。これでもうやらなくなるだろうと思うかもしれないが、断言してもいい。そうはいかない)。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください