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「67歳同士での再婚」反対押し切った2人のその後 「派手な妻」「経営者の夫」は遺産相続で揉めたが…

東洋経済オンライン / 2024年1月28日 13時10分

決定的だったのは、徹さんの家で一緒に住むために文子さんが片付けに行ったときのことだ。亡き妻との思い出も残る家を徹さんはまったく片付けられず、子どもたちも何もしていないためにゴミ屋敷のような状態になっていた。遺骨を戸棚にしまいっぱなしだったほどだ。

「私がお片付け用の服で徹さんの家に行ったら、長女さんとその旦那さん、長男さんがスーツ姿で待ち構えていたんです。すごい形相でにらみつけてきたりして……。私に実家を奪われてしまうと思ったみたいです」

そのような対応をされて黙っている文子さんではない。「この家をいただこうなんて思っていませんよ。私はもっとキレイにしている自宅を持っていますから。家を守りたいなら、自分たちでちゃんと片付けをしたらどうですか」と啖呵を切ったという。

その後、徹さんは自宅を結婚した長男に譲り渡し、自分は文子さんの家に住んで電車で1時間半かけて通勤している。

「息子のところには孫が2人いるけれど、オレがだっこしたことはほんどないよ。息子からは『関わらないでくれ』と言われたから、お互いに関わらないことにしているんだ」

徹さんは成人して結婚もしている子どもたちとの関係ではなく、文子さんとの新生活のほうを大事にしているのだ。いざというときに頼れるのはパートナーしかいないため、どちらかが病気になったときのことも考慮して、婚姻届も提出。それぞれ財産があるので未入籍で構わないという前提は崩した。徹さんの長男長女は、文子さんとの接し方を間違えていずれ相続できる財産を減らしたとも言える。自業自得である。

子どもたちとの心理的距離の遠さを語る徹さんの表情は当然ながら晴れない。そして、神社仏閣を含めた宗教団体への怒りの言葉を繰り返す。前妻の入信がきっかけとなり、自分なりに愛してきた家族が壊れてしまったことが悲しくて仕方ないのだろう。

ただし、2人の新婚生活は順調だ。文子さんは徹さんの乱雑な言葉遣いと車の運転には眉をひそめながらも、「嫌なことも1日で忘れちゃう」性格を大いに発揮。毎日欠かさずに出勤する働き者の徹さんを料理などで労っている。

2人は信頼関係だけで結ばれている

「朝は2人とも6時起きです。私がお弁当を作っている間に、徹さんが部屋の掃除をしてくれます」

徹さんは文子さんに月20万円を渡していたが、それで駐車場代や外食費も賄っていたら、文子さんのほうが持ち出しになることが発覚。話し合って月35万円に値上げした。それでも徹さんは古い高級車や金魚飼育などの趣味を続けているし、文子さんのほうもわが家で伸び伸びと暮らしている。財産は自分たちのために使えばいいのだ。

結婚とは赤の他人と家族になることだ。再婚で前のパートナーとの間に子どもがいる場合は、その関係性が微妙になりかねない。感情も揺れるだろうし、相続の問題も起きやすい。

そのときに忘れてはいけないのは、結婚相手とは血のつながりなどではなく信頼関係だけで結ばれていることだ。成人した子どもや老いた親の意向よりも結婚相手の気持ちを優先することが最低限のルールともいえる。安心した顔でよくしゃべって笑っている文子さんと徹さんが寄り添う姿を見て、そのような感想を覚えた。

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております(ご結婚5年目ぐらいまで)。事実婚や同性婚の方も歓迎いたします。お申込みはこちらのフォームよりお願いします。

大宮 冬洋:ライター

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