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バイデンの存在薄くなる3年目のウクライナ戦争 「ロシアが攻めてくる」欧州の危機感に応えられない

東洋経済オンライン / 2024年1月30日 7時0分

バイデン政権は約610億ドル(約9兆円)のウクライナ支援を含む緊急予算案の承認を議会に求めているが、共和党の反対で審議は難航している。共和党の背後にはトランプ氏の存在があるとも言われている。

欧州「自分たちでやるしかない」

そんなアメリカに冷ややかな視線を向け始めたのはウクライナだけではない。欧州も同様だ。

トランプ政権が再登場した場合、北大西洋条約機構(NATO)脱退の可能性を懸念している欧州では、ウクライナ対応を含めた今後の欧州全体の安全保障に関して、アメリカがもはや頼りにならないので自分たちでやるしかない、との機運が高まっている。

この動きを象徴するのが、イギリスによるウクライナとの2国間の安保協定の締結だ。各国がウクライナとの間で2国間の安保協定を締結する大方針自体は2023年7月のリトアニアのビリニュスで行われたNATO首脳会議で決まっていた。

この首脳会議では、ウクライナのNATO加盟に向けた明確なメッセージが出せなかったため、ウクライナ側の不満をなだめる代替策として、2国間の安保協定締結が決まっていた。

2024年1月、この安保協定の第1号として、キーウを訪問して調印したのがイギリスのスナク首相だ。ウクライナの安全保障に10年間コミットすることをうたったこの協定の肝は、将来ウクライナと停戦したロシアが停戦を破って、再び侵攻してきた場合の軍事支援を確約したことだ。

今後、ウクライナがロシアとの間で停戦交渉をするかどうかはわからない。しかし、この保障により、ウクライナは後顧の憂いなく、何らかの形でロシアとの停戦協定を結ぶ、という選択肢を確保することになる。

この2国間協定の交渉はドイツ、フランスとも行っている。仮にドイツとフランスも追随した場合、ウクライナの安全保障に与える意義は大きい。

NATOに未加盟のウクライナを支援するうえでの現在の法的根拠は、侵攻が国連憲章違反であるという1点のみだ。この2国間の安保協定体制が各国に広がれば、ウクライナを守る国際的条約体制がNATO加盟までの間とりあえずできることになる。

今回の安保協定の締結により、イギリスは欧州でウクライナ支援での明確なリーダーとなった。ワシントンと電話で協議することが多かったウクライナ政府高官が、今はロンドンに電話して相談するケースが目立って増えている。

ここで問題は、現時点ではウクライナにとって最大の支援国であるアメリカの動向だ。バイデン政権は2023年末までの段階でキーウとの間で安保協定の交渉を終える予定だったが、軍事筋によると、中断してしまったという。

欧州安保でのアメリカへの不安

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