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敷島製パンが「おしゃれパンカフェ」始めた事情 季節のスープとスプレッドで差別化を図る

東洋経済オンライン / 2024年1月30日 12時30分

エキュートエディション御茶ノ水に昨年12月にオープンした「プラスプレ」の内装はモダンで都会的な雰囲気(提供:プラスプレ)

製パン企業の新たなスタンダードとなるかーー。「パスコ」で知られる製パン業界大手、敷島製パンが直営ベーカリーカフェの強化に乗り出している。

【写真21枚】発酵バターパンやブリュレ・クリームパンなどさまざまなパンが揃っている

2022年7月、鎌倉に「プラスプレ」1号店をオープンしたのに続き、昨年12月にお茶の水に2号店を出店した。鎌倉店がゆったりしているのに対して、お茶の水店は女性が1人でさっと食べられる店をイメージした。

自社のブランドのベーカリーがほしかった

商品は、「鎌倉食パン」(ハーフサイズ497円)や「焼きカレーパン」(356円)、サンドイッチなどのパンに加えてスープもある。現在のところ、客のほとんどが女性で、働き盛りの30~40代が中心だ。それにしても、これまでほぼ自社ブランドのベーカリーを展開してこなかった敷島製パンがなぜ今になってベーカリーカフェなのか。

敷島製パンのグローバル事業部の栗田木綿子氏は、山崎製パンが「ヴィ・ド・フランス」を、神戸屋が「神戸屋キッチン」を持つように、看板になる強い自社ブランドのベーカリーが欲しかった、と説明する。

また、「朝食以外にも、さまざまなシーンでパンを採り入れた生活をしてほしい。ご提案の1つとして、パンとスープの食事を提供するブランドを立ち上げました。人口がシュリンクする将来も見据えています」(栗田氏)。

確かに、パンの未来は安泰とは言い切れない。

例えば、山崎製パンの業績を見ると(敷島製パンは非上場)、足元では食パンや菓子パンの売り上げが好調で、2024年3月期は大幅な増収増益になる見通しだが、長期的な視点で見た場合、日本全体を襲う人口減という問題が重くのしかかる。すでに飲食分野では、若年層の人口増が続いているアジアなど海外に進出することで、将来的な国内事業の縮小への対策をとり始めている。

パンブームの反動と思わぬ影響

ここ10年ほど、パンはさまざまなブームが起き、首都圏のパンイベントでは大行列ができる、全国に食パン専門店ができるなど話題を集めてきた。総務省の家計調査で見ても、パンの消費金額は2007年以降上昇が続き、2011年にはコメを抜いてニュースにもなった。

しかし、2010年代後半から糖質制限ダイエットやプロテインブーム、グルテンアレルギーへの注目など、小麦粉を使った製品には逆風が吹き始めている。コロナ禍では巣ごもり消費もあってパン市場は拡大したものの、ウクライナ戦争による小麦価格高騰もあって長期的には大きく伸びる市場とは言いがたい。

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