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敷島製パンが「おしゃれパンカフェ」始めた事情 季節のスープとスプレッドで差別化を図る

東洋経済オンライン / 2024年1月30日 12時30分

ポールのノウハウで大きいのが、狭い厨房の活用法。面積は厨房と店舗が10坪ずつの合計20坪しかない。近年は、商業施設の厨房は狭くなる傾向がある。ポールは、数々の商業施設で厨房を設計してきた。

「業務用としては最小サイズの、コンベクションオーブンとミキサーを入れました。初心者の女性でも作業しやすいよう設計しています。蒸気の量、温度、時間も商品ごとにプログラムで設定しました」(栗田氏)。パン屋は体力も必要な商売だが、従業員の仕事を少しでも楽にするよう工夫したのだ。

オーブンが小さいと作業自体はラクかもしれないが、パンを焼く回数が多く手間が増えるのではないか、と聞くと、栗田氏は「確かに、改良剤を入れればすぐに発酵します。しかし、プラスプレでは改良剤を入れず、発酵温度を低めにしているので、発酵時間が長く、時間の融通性が利くんです。アイテムも約60種類、うち1割程度を季節メニューと絞り込んでいます」と説明する。一般的なパン屋は、100種類ぐらい並ぶことも多い。

栗田氏はさらに、「生地の種類も絞りました。しかし、同じ生地でもフィリングや形、発酵時間、生地にかける負荷を変えると、食感が変わります」と補足する。パスタが、形が違えば味が変わるように、パンも同じ生地からさまざまな味わいが生まれるのだ。

「プラスプレ」の今後の展開は?

ポールは世界中で展開するフランスのブランドのため、さまざまな制約があるが、プラスプレは敷島製パンの自社ブランド。味噌や山椒など、和の食材も使う。「縛りがないので自由にパンが作れる。日本の良さや季節感も打ち出せる面白さがあります」と栗田氏は言う。

今後、時間をかけて日本らしさを打ち出すブランドを育て、3号店以降を開業していく見込みだ。海外進出も視野に入れている。その際は、敷島製パンが現地企業との合弁で香港に進出したことなど、海外とのネットワークが生きるだろう。

敷島製パンの試みは、パンを和食化させることで生活により深く根付かせ、消費機会を増やす挑戦でもある。人口減時代を生き抜くために、何ができるのか。本番はこれからだ。

阿古 真理:作家・生活史研究家

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