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岡山の廃線「片上鉄道」代替バスは別ルートの事情 貨物の流れから人の流れへ交通路が再編された

東洋経済オンライン / 2024年1月31日 6時30分

吉ヶ原を発車する中鉄北部バス。旧片上鉄道の駅舎がバスの待合室となっている(筆者撮影)

ローカル鉄道の廃止反対理由として、「鉄道がなくなると町がさびれてしまう」としばしば述べられる。しかし現実には鉄道の乗客が高齢者と高校生だけとなり、利用客数が極端に減少してしまったからこそ廃止論議が起こる。消えた鉄道の沿線地域と、鉄道を代替した公共交通機関は今、どうなっているのか。今回は鉱山産出品の輸送のため建設された、岡山県の同和鉱業片上鉄道沿線の現在を見る。

柵原鉱山は1991年に閉山

片上鉄道は柵原(やなはら)鉱山の鉄鉱石を輸送するため、1931年に片上―和気―柵原間が全通した。1957年に経営が同和鉱業(現・DOWAホールディングス)に移っている。

【写真を見る】ご存じですか?岡山県を走っていた「同和鉱業片上鉄道」。廃線後の沿線は現在どうなっているのか?

当初より片上港、もしくは国鉄山陽本線和気駅への貨物輸送のため建設された鉄道であり、沿線の人口は多くはなかった。貨物輸送のトラックへの転換を経て、円高による海外産の安い鉄鉱石の流入により柵原鉱山が1991年に閉山されると、使命を失って同年7月1日付で全線廃止されてしまっている。

廃止後は日生運輸(備前片鉄バス)により廃止代替バスが運転されていたが、経営難により同社が2015年にバス事業から撤退すると、その後は市営バスによって引き継がれた。けれども片上鉄道のルートは人の流れ、行政区分とは必ずしも合致していなかった面もあるためか、2023年現在のバスの運転ルートは、鉄道時代とは異なっている部分がある。

片上鉄道の起点であった片上駅は、1962年の国鉄赤穂線全通より先に存在しており、とくにほかの鉄道との接続はなかった。現在、駅跡はスーパーマーケットなどになっている。最寄り駅はJR赤穂線の西片上駅で、歩くと5~6分かかる。

片上―和気間は日生運輸が撤退した際、備前市と和気町の市町界を越えるためか、「代替バスの代替バス」が設定されず、しばらくの間、直通する公共交通機関がない状態が続いた。これが解消されたのが2019年で、備前市営バス、和気町営バスが共同運行する片上和気線の形で復活している。

片上―和気間は別ルート

このバス系統の起点は備前市の中心部である備前片上駅前。当然の施策だが、備前市内の主要公共施設を経由してから和気へ向かう。ただ、片上鉄道は片上駅から東へ向かって発車し、西片上駅のすぐ側で赤穂線をくぐっていた。

しかし片上和気線は今も片鉄片上を名乗るバス停から西へ発車。国道250号、374号を走り、隣りのJR伊部駅近くまで行ってから赤穂線、山陽新幹線をくぐる。片上鉄道とは完全に別ルートだが、片上の次の駅は国道374号と合流してからさらに進んだ和気町内の清水であったため、鉄道を代替していると言えば代替している。

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