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「セクシー田中さん」悲しい出来事の裏にある現実 ドラマ関係者のバッシング過熱に感じること

東洋経済オンライン / 2024年1月31日 1時15分

今回の件は誰かを責めるのではなく、組織、仕組み、ガバナンスの問題としてとらえ、改善につなげていきたいところ。これはエンタメに限った話ではなく、あらゆる業界のビジネスパーソンがミスをしてしまったとき、個人の問題とせず、組織として改善に努めていくことと似ています。

ドラマ制作の現場に話を戻すと、それぞれの企画は主にプロデューサーか編成担当が立てるところからスタート。大御所を中心に脚本家発信で動きはじめるものもありますが、それでも最終的な決定権はプロデューサーや編成担当、局の上層部にあり、視聴率や配信再生数の獲得、スポンサー配慮などの観点を踏まえつつ進めていきます。

では、もし原作の改編に問題があった場合、誰の何が原因なのか。

主な当事者は、原作者と担当編集者、プロデューサーと脚本家、演出家の5者。今回、改編の問題があったのは、「プロデューサー、脚本家、演出家、担当編集の4者が原作者の意向をくみ取り、ドラマとしてまとめることができなかった」ということでしょう。ネットで書かれているような「脚本家が単独で改編を繰り返して原作を壊した」ということは考えづらいのです。

ドラマ制作と出版社の事情と本音

改編で問題が発生したときは、時間をかけてコミュニケーションを繰り返す。あるいは、原作者をフォローし、意向を汲める人材を新たに投入する。つまり、問題解決に向けて、時間や回数、人員やスキル面での対策が求められます。

しかし、ドラマ制作はキャストやスタッフなど漫画や小説以上に多くの人々が関わり、ロケ地や美術などの手配もあって、スケジュール面での難しさとつねに戦っているようなところがあるもの。そのため、「原作者や担当編集サイドと十分なコミュニケーションが取れていないまま、『これでお願いします』と理解を求める」ようなケースも散見されます。

また、視聴率や配信再生数の獲得やスポンサー配慮などの理由から、「このような脚色で進めさせて」「これくらい変えてもいいのですよね」などと原作者に甘えるような形になってしまうというケースも見られます。

ただ、原作者の窓口になる担当編集者も同様に、「これくらいの脚色ならいいのでは」と自己判断したり、勧めたりするケースも少なくありません。出版社もビジネスである以上、ドラマ化で売り上げを増やすことが重要であり、「100%原作者に寄り添う形になれるか」と言えばそうとは限らず、「放送されることを優先する」ところもあるものです。

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