1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

「セクシー田中さん」悲しい出来事の裏にある現実 ドラマ関係者のバッシング過熱に感じること

東洋経済オンライン / 2024年1月31日 1時15分

漫画家や小説家の中には、「映像化の際に一切口を出さない」と決めている人もいますが、SNSでの発信を見る限り「作品は自分の子ども」という思い入れが強い原作者が以前より増えているようにも感じられます。だからこそ出版社の担当編集者には、原作者と映像の制作サイドとの間に入る高いコミュニケーション力が求められていくでしょう。

前述したように今回の件は、個人を攻撃する問題ではない一方で、日本テレビと小学館は1人の大切な命が失われたことに対する誠実な姿勢を見せられるのか。世間の注目が集まりはじめています。

求められているメディアとしての対応

29日、日本テレビは番組ホームページに、

「芦原妃名子さんの訃報に接し、哀悼の意を表するとともに、謹んでお悔やみ申し上げます。2023年10月期の日曜ドラマ『セクシー田中さん』につきまして日本テレビは映像化の提案に際し、原作代理人である小学館を通じて原作者である芦原さんのご意見をいただきながら脚本制作作業の話し合いを重ね、最終的に許諾をいただけた脚本を決定原稿とし、放送しております。本作品の制作にご尽力いただいた芦原さんには感謝しております」

というコメントを掲載しました。

真相はわかりませんが、日本テレビのコメントからは、「芦原さんに哀悼の意を表するために控えますが、『実際のところはこうでした』『こちらはやれることはやりました』」というニュアンスもあるように感じました。

経緯などの詳細が書かれず、自己正当性をにおわせたようにも受け取れる表現のためか、現在ネット上には日本テレビに対する批判の声が上がっています。ただ、批判している人々はエキセントリックに怒っているというより、「経緯を調査中であり、後日発表します」などの向き合う姿勢を見せてほしいのではないでしょうか。

一方の小学館にとって「大切な漫画家を失った」というショックは計り知れないでしょう。しかし、芦原さんのファンを筆頭に世間の人々から、組織として経緯の調査を求めるような声が上がっています。

いずれにしても、「放送終了からわずか1カ月あまり、ブログやXへの投稿からわずか数日間で、原作者が命を絶った」という事実はあまりに重く、日本を代表するメディアとして「命の大切さを伝える」という意味でも真摯に向き合い、未来につなげてほしいところです。

最後に、私たちが覚えておかなければいけないのは、芦原さんが命を絶った最大の理由は、まだわからないこと。

「攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい」という芦原さんの最後の投稿を踏まえると、自分の思いをくみ取ろうとせず、脚本家やプロデューサーなどを激しく個人攻撃する人々に、大きなショックを受けていた可能性も否定できません。私たちにとって今回の件は決して他人事ではなく、日ごろから「個人を攻撃しない」という心がけを忘れずにいたいものです。

木村 隆志:コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください