日本はこのまま「国家の衰退」を黙って待つだけか いまこそよみがえる、福沢諭吉からの警告
東洋経済オンライン / 2024年2月2日 9時0分
イギリスの歴史家であるヘンリー・トーマス・バックル(1821~1862年)も『イギリスにおける文明史』(Hitory of Civilization in England、1857年)の中で、自然環境の苛酷さに打ち勝った西欧の力を誇示し、それが人間の想像力を生み出し、自由を生み出したのだと述べ、西欧文明の輝かしさを褒めたたえている。
福沢諭吉の『文明論之概略』
福澤諭吉(1835~1901年)はこの2人の書物に影響され、『文明論之概略』(1877年)を執筆する。福澤は、日本が西欧の列強と対等に戦うためには、西欧のたどった道を学び、その文明を習得することが緊急の課題であると述べている。
「ヨーロッパといえども、その文明の由来をたずねれば、必ずこの順序階級を経て、もって今日の有様にいたりしものなれば、今のヨーロッパの文明は、すなわち今の世界の人智をもってわずかに達しえたる頂上の地位にあるというべきのみ。されば今世界中の諸国において、たといその有様は、野蛮なるもあるいは半開なるも、いやしくも一国文明の進歩を謀るものは、ヨーロッパの文明を目的として議論の本位を定め、この本位によって事物の利害得失を談ぜざるべからず。本書全編に論ずるところの利害得失は、悉皆(しっかい)ヨーロッパの文明を目的と定めて、この文明のために利害あり、この文明のために得失ありというものなれば、学者その大趣意を誤るなかれ」(松沢弘陽校注、岩波文庫、29ページ)
明治維新の日本は、日本の未来に危機感をもつすぐれた人物が多く登場した時代といえる。ローマの繁栄がそのすぐれた人物が統治したことから生まれたように、日本がアジアの中で西欧に対して少なくとも独立し、アジアの雄として一矢報いることができたのは、こうした先見の明をもつ人々が、当時次から次へと登場したからである。
最近フランスで出版された中東出身でフランス・アカデミー会員のアミン・マアルーフ(Amin Maalouf)の書いた『迷える者の迷宮―西欧と対向者』(Le Labyrinth des égarés. L’Occident et ses adversaires,Grasset, 2023)という書物は、日本の栄光と衰退を考えるために興味ある内容を示唆してくれる。
この本の中で紹介されている非西欧とは、西欧に挑戦し、非西欧に大きな刺激を与えた国である。その非西欧の中で成功した国とは、日本、ソ連、中国、アメリカであるが、なんといってもその筆頭に来るのが日本なのである。
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