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戦時でも「ダイヤどおり運行」ウクライナ鉄道の今 周辺諸国との重要な足、ウィーン直通の客車も

東洋経済オンライン / 2024年2月2日 6時30分

車体に無数の弾痕があるウクライナ鉄道の客車。キーウ市内で展示されている(写真:原忠之)

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから、2024年2月で2年。侵攻の影響で民間の旅客機はウクライナ領空を飛べず、国境をまたぐ人々の往来は陸路交通に大きく依存しており、ウクライナと周辺各国を直接結ぶ国際列車の運行は人々の貴重な足となっている。

【現地の写真】キーウ市内の広場では、破壊されたロシア軍の戦車と攻撃を受けたウクライナ鉄道の客車を展示。地下鉄の駅では防空警報が出ているときも運行を継続している

日本人は外務省から「渡航自粛の勧告」が出ているためウクライナ入国は難しいが、このほど国際列車で首都キーウに入ったアメリカ在住者の方から現状を聞くことができた。ロシアによる攻撃が続くウクライナだが、一方で社会インフラの復興は急ピッチで行われており、鉄道も運行可能なエリアではほぼダイヤ通りに運行されているという。開戦から2年となるウクライナの鉄道事情を紹介する。

虐殺があったキーウ近郊の街は

今回、ウクライナの鉄道の現状について聞いたのは、フロリダ州在住で現地の大学で教鞭を執る原忠之教授だ。同氏はこれまで、少なくとも30回はウクライナへの渡航歴があり、同国の文化や習慣への理解も深い。各種の情報を吟味した結果、「戦時下であっても、ウクライナを訪れることに決めた」と話す。

ウクライナでは東部で攻防戦が続き、首都キーウなどでもロシアによる空爆が続いている。その一方で、他国へ脱出していたウクライナ人の避難民たちが国に戻る動きも活発になっているという。では、キーウは危険ではないのだろうか。

ロシア軍は侵攻開始からほどなく、キーウの至近距離まで進軍。郊外の高級住宅地ブチャでは市民数百人が虐殺される事態となったほか、ショッピングセンターが攻撃され焼失するといったことも起きた。当時の映像で見る状況はあまりにも凄惨だ。

原氏はこうした状況の中、「キーウがロシアによる軍事行為によって被害を受けており、今もなお、訪問するには危険があることは事実だ」としながらも、「キーウの都市機能は十分回復しているとの見方もできる」と説明。「結論としては、双方がどちらも真実」だという。虐殺が起きたブチャでさえも「現地の人々によると、高級リゾートの雰囲気がありながらも、キーウ中心部まで通勤圏なので変わらぬ人気がある」(原氏)といい、復興も進んでいることをうかがわせる。

地下鉄は防空警報下でも運行

キーウ中心部の広場には、破壊されたロシア軍の戦車と装甲車両が並ぶその横に、爆撃で穴だらけになった客車1両が展示されている。記念撮影する人々も多く観光名所のような雰囲気も感じられるが、その近くにはロシアとの戦いで命を落とした軍人や市民を慰霊する一角もあり、「ロシアの一方的な残虐行為が続いていることが否応なしに思い出される」(原氏)。

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