「サントリー生ビール」発売1年待たず刷新の本気 変化はわずかだが、一貫した戦略が見える
東洋経済オンライン / 2024年2月2日 7時30分
発売1年を待たずに商品を刷新――。
サントリーは2月製造分から、スタンダード(標準的な価格帯の)ビールの「サントリー生ビール」をリニューアルする。
同商品の販売開始は2023年4月。ビールで国内4位に甘んじてきたサントリーがシェア拡大を図り、満を持して投入した戦略商品だ。10月に実施されたビール減税という追い風もあり、2023年の販売数量は399万ケースと、目標の3割を超える上々のスタートを切った。
にもかかわらず、なぜこのタイミングでリニューアルに踏み切るのか。
リニューアルは「強みをより伸ばす」ため
近年の酒類業界では、発売後、短いスパンで商品をリニューアルすることは珍しくない。
例えばサントリーが2021年4月に発売した糖質ゼロのスタンダードビール「パーフェクトサントリービール」。同商品は発売翌年の1月と8月、わずか1年半で2度もリニューアルされている。2度目のリニューアルではパッケージをがらりと変え、イメージを一新した。
サントリービールカンパニーマーケティング本部の竹内彩恵子氏は、「糖質ゼロという機能か、ビールとしてのおいしさか、どちらを前面に出すのかを模索していた」と振り返る。パーフェクトサントリービールはマーケティング上に課題があり、それに合わせたリニューアルだった。
一方でサントリー生ビールの場合は、事情が異なる。販売は順調で、「新商品にしては消費者の認知度が高く、パッケージなどを大きく変える必要はなかった」(竹内氏)。それでもリニューアルに踏み切ったのは、「強みをより伸ばす」(同)ためだ。
サントリーが捉える強みは、「若年層」にある。実は、サントリー生ビールは比較的若い年代に支持されている。国内のビールの購入者のうち20代から40代の構成比が約36%であるのに対し、サントリー生ビールでは約41%。今回のリニューアルは、変化や流行に敏感な若年層への一層の訴求を狙ったものというわけだ。
リニューアルでは醸造方法を見直し、飲んだ瞬間の刺激感を強化。またパッケージの色調を明るくし、文字を大きくすることで、店頭でより目を引くようにした。
見た目の変化は軽微だが、いずれも若年層の消費者の意見を積極的に取り入れた。サントリーの多田寅(すすむ)ビールカンパニー社長は、「商品に対する消費者の意見を素早く反映させることで若年層により受け入れられると考え、このタイミングでのリニューアルに踏み切った」と語る。
マーケティングを若者に「全振り」
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