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バーガーキング「増やそう」施策が秀逸すぎる理由 街のスキマを見つけるトレンドにマッチしている

東洋経済オンライン / 2024年2月2日 18時30分

例えば、2019年にTwitter上で起こった一連の出来事がそれを顕著に表している。とあるTwitterユーザーが「バーガーキング下北沢店を作ってほしい」というポストをしたところ、半年後、バーガーキング公式アカウントが反応。実際に下北沢店を作っていることを返信しただけでなく、工事中の店舗の壁面に、そのユーザーとの投稿のやりとりを大きく印刷して貼り付けたのだ。

公式SNSが、一般ユーザーと交流することは今ではめずらしくないが、投稿を印刷して貼り付けるまでのことはない。一見、冗談とも思えるやりとりであるが、こうした交流が、SNS上で大きな反響を呼んだ。

また、バーガーキング秋葉原昭和通り店では、近くにあったマクドナルドが閉店する際、「22年間、たくさんのハッピーをありがとう」という掲示を張り出し、同業者であるマクドナルドに対する熱いメッセージを送った……かに思えたが、実はそのメッセージを縦読みすると「私たちの勝チ」と読めるという、攻めたPRを行った。

同社は取材に対して、そのメッセージをどのように受け取るかはお客様次第、とし、本社がメッセージをあえて発信しないことで、顧客が自発的にその広告と関わりを持つきっかけを作った。

同社のSNSを通じた宣伝・PR戦略は、顧客と本社のつながりを強化するものであり、飲食業界の中でも際立っている。

今回の「バーガーキングを増やそう」というキャンペーンもまた、こうしたSNS上でのユーザーインタラクティブを高める企画の一環だ。

顧客からすれば、自分自身の投稿で、バーガーキングの出店が決まるかもしれない、と思う。あたかも顧客自身が企業の経営に参加している感覚を生み出す巧みな戦略なのだ。

② 昨今の「居抜き」立地戦略に上手く乗っていること

次に、「② 昨今の『居抜き』立地戦略に上手く乗っていること」だ。これを考えるためには、これまでの企業における出店戦略の苦労を見なければならない。

今回のキャンペーンは出店が決まれば10万円、決まらなくてもお得なクーポンがもらえる、という顧客にとっていいことずくめの企画だが、実はこの仕組み、バーガーキング側にとってもメリットが多い。

店舗開発はプロがやるものだった

最初に書いた通り、店舗開発はその店の成否を大きく左右する。「日本政策金融公庫」が発表している「2023年度新規開業実態調査」によれば、飲食店一店舗を出店するコストの中央値は550万円で、決して安くはない。たとえチェーンストアであっても大きな失敗は許されず、どこに店舗を出店するのか、ということが大きな問題となってきた。

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