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バーガーキング「増やそう」施策が秀逸すぎる理由 街のスキマを見つけるトレンドにマッチしている

東洋経済オンライン / 2024年2月2日 18時30分

「居抜き」店舗を作るときに大きな障壁となるのは、全国の「居抜き」募集物件を効率よく見つけることだ。いわば、街にある「スキマ」を見つける作業に他ならないが、こうした空き物件を全国で探すのならば、企業の人間よりも、その街に住んでいる住民の方が適任だろう。というよりも、普段見ている「街のスキマ」を紹介してもらうだけでいい。

今回のキャンペーンの前提となっているのは、こうした「居抜き」のトレンドであり、そして①の要因と絡めるならば、そうした「居抜き」のトレンドとSNS的な投稿のノリを組み合わせたのが、このキャンペーンなのである。

③ ここ10年来の「街歩き」ブームに乗ったこと

もう一つ、今回のキャンペーンを可能にしたトレンドがある。

「街歩き」ブームだ。

現在、巷には「街歩き」を冠する番組や雑誌の企画が溢れている。現在の「街歩き」ブームは2000年代中頃に、同時多発的に起こっている。2007年に『モヤモヤさまぁ〜ず』、2008年に『ブラタモリ』の放送が始まっている。

これらの番組では、街にある、これまで注目されてこなかったスポットに注目することで、身近な街に面白さを「発見」できることを一般の人々に知らせた。

「街歩き」のトレンドで顧客に「街のスキマ」を発見させる

こうした「街歩き」における一つの特徴は、ただ漫然と街を歩くだけではなく、その中で「面白い店」や「面白い場所」を発見する、という「発見」の楽しみとセットだったことにある。

こうした「発見」ブームの源流の一つが、『宝島』が雑誌上で「街にある面白いものを見つける」企画として行っていた「VOW」にある。ここでは、読者が街で見つけた面白いもの(「物件」と呼ばれていた)を雑誌に投稿する形でコーナーが成立していて、「読者参加型企画」とセットで、こうした「街歩き」的な発想があったことがわかる。

今回のバーガーキングのキャンペーンでは、顧客に街歩きをさせて面白そうな「空き物件」を探してもらい、それを顧客に投稿してもらう、という「VOW」的な発想が基底にある。

実際、同社のキャンペーンサイトを見ると、「街を歩いてもいいし、ネットで調べてもいい。 とにかく空いてる物件を探してください!」とある。「街を歩く」ことが投稿のための大きな要素として捉えられているのだ。

人々が何かを発見する街歩きに慣れてきている現代だからこそ、今回のキャンペーンは成立するわけだ。

というわけで、バーガーキングのキャンペーンを読み解く3つの要素を見てきた。こう考えると、このキャンペーンは「居抜き」が重視される昨今の立地戦略と街歩きブームをSNS的な投稿システムによって組み合わせた、きわめて巧妙な施策であることがわかるだろう。

巧みなPR戦略と、それを支える品質と価格

とはいえ、バーガーキングは、こうした飛び道具的なPR戦略だけを行っているのではない。このような施策が功を奏するのも、地に足のついた製品の良質さがあってのことである。

その点、バーガーキングは、日本上陸当初から話題であった「ワッパー」の大きさや、一般のハンバーガーチェーンではあまり見られない直火焼きによるパティの製造など、品質や製品へのこだわりも忘れていない。

また、近年マクドナルドが値上げを繰り返す中で、当初は「割高」といわれていたバーガーキングの製品も他のハンバーガーチェーンと価格的な勝負ができるようにもなってきた。独特なPR戦略を支えるその他の施策も十分揃ってきているのだ。

2月5日からはじまる「バーガーキングを増やそう」キャンペーン。これによって、バーガーキングの店舗は、日本のハンバーガー界にどのような影響を及ぼしていくのだろうか。

谷頭 和希:チェーンストア研究家・ライター

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