再び『ヤバい日本経済』になるかもしれない 10年前と似た楽観ムードが訪れようとしている

2012年当時の連載陣。中央が山崎元さん、左がぐっちーさん、右が筆者（撮影：今井康一）

山崎（元）さん、このあいだ「はづき」（東京・港区烏森）に行ってきましたよ。一緒に行ったことはなかったけど、あそこは『ルック＠マーケット』に出演していた人たちが集まる店だったから、別々によく通っていたよね。

山崎さん行きつけのスナックでママとしんみりした

2000年にBS放送が始まったばかりの頃、『ルック＠マーケット』はBSジャパン（現在の「BSテレ東」）が平日午後4時から放送する1時間もののマーケット番組だった。

視聴者もまだ少なかったから、日本経済新聞出身の内山敏夫キャスターはいつもやりたい放題。ゲスト陣では山崎さんはすでに有名人だったけど、のちにこの世界で頭角を現す人が何人も出たから、「マーケット関係者の『トキワ荘』」などと呼ばれていたものだ。

あの番組、2003年6月、日経平均が8000円台に落ち込んだときに打ち切りになってしまったから、もう20年以上前のことになる。株価としては今の4分の1以下だった。内山さんはお元気で、今でもたまに店に顔を出すとのこと。

カウンターに座ったら、岸本ママがしみじみ「元ちゃん、死んじゃったねえ」だって。元日の能登半島地震にはビックリしたけれども、同じ日に山崎さんが逝ってしまうとは。よりによって新NISA（少額投資非課税制度）が始まった日でもあった。山崎さんは筆者のところにも、昨年12月27日にメールをくれていたから、まさかこんなに早いとは思ってもみなかった。

山崎さんは、最後の1年は「飲まない人」だったから知らないと思うけど、岸本ママが1人でやっている「はづき」は最近結構、賑わっている。「コロナ明け」後の新橋は、意外なことに若いお客さんが多いんだ。遅い時間までワイワイやりながら、『15の夜』みたいな古い歌を歌っていたりする。彼らなりに「昭和な世界」を楽しんでいるらしい。

そういえば、山崎さんとはお酒と競馬の付き合いは多かったけれども、一緒にカラオケに行ったことは一度もなかった。岸本ママに山崎さんの持ち歌を尋ねてみたら、「椎名林檎の『歌舞伎町の女王』」だと教えてくれた。それって、「♪ママは此処の女王様～生き写しのようなあたし～♪」ってやつだよね。椎名林檎は好きな歌手だけど、歓楽街の歌とは山崎さんらしくない。いや、らしいのかな。

岸本ママによれば、「元ちゃん、歌がうまいのよ。高音も出るし」って。そうか、それは1回くらい聞いてみたかった。でも、もう間に合わない。人が死ぬっていうのは、そういうことなんだ。だから「サヨナラだけが人生だ」って言うんだよな。