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「スマホ依存」抜け出せない人がまず観察すべきもの マインドフルネスの活用で衝動を"やり過ごす"

東洋経済オンライン / 2024年2月4日 19時0分

この段階だけでも劇的な効果があった。たとえば、長年喫煙をつづけたある女性は、煙草の味に意識を向けたことで、ついに禁煙の決意を固めた。

ブルワーによれば「彼女のなかで知識が実感に変わった。喫煙はよくないと頭で理解していたことを、身を以て体感したのだ」。

次にブルワーは被験者に欲求から逃げずに向きあうよう指導した。自分の衝動を認識し、それをゆったりと受け止めるようにするのだ──つまり、衝動を止めようとするのではなく、湧きあがってくることを許容するようにした。

同時に、衝動が心と身体でどのように感じられるかに注意を向け、それを欲求を感じたときの”やり過ごす”方法とした。正式な瞑想エクササイズのやり方も伝え、日課としてプログラムに組みこんだ。

結果を分析したところ、マインドフルネス式の参加者の禁煙率は、定番プログラムの2倍にのぼることが判明した。

さらに、喫煙習慣に逆もどりした人の数もマインドフルネスのグループのほうがはるかに少なかった。

マインドフルネスのスマホ断ちに対する効果は、喫煙プログラムのとき以上とまでは言わないが、同じように高い。期待できるのはそれだけではない。

一瞬ごとの体験に意識を集中することは、スマホと無関係な記憶の礎を増やすことにもなる。それが不安と向きあうなかでの助けになり、人生に豊かさをもたらしてくれるだろう。

そういうわけで、まずはマインドフルネスのやり方をお伝えしていこう。

脳が発信する「絶え間ない誘惑」への気づき

最初に取り組むのは、自分の感情や考え、反応をじっくりと観察することだ。批判を加えたり、何かを変えようとする必要はない。心が発信する誘惑に気づくことが第一歩だ。

次に、その誘惑に対して自分がどう(あるいは、そもそも)対応したいかを判断する練習をしていく。

少し補足しておくと、私たちの脳は意気ごみすぎの(かつ、空まわり気味の)イベントプランナーのように、つねに招待状を送りつけてくる。何かを実行しようとか、特定の反応を返すように誘う内容だ。

渋滞に巻きこまれたら、他のドライバーに中指を突き立てろと呼びかける。金曜の夜にひとりぼっちだと気づくと、自分は友達のいないつまらない人間だと思え、とそそのかす。

平たく言うと、抗いようのない衝動だと私たちが思いこんでいるものは、じつは脳が発信する誘惑である。これは重要な視点だ。

というのもこのことを知っていれば、誘惑しつづける脳に対して、なぜそんなつまらない茶番に誘いこもうとするのか、と問いなおすことができるからだ。

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