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SMBC日興の次期社長が期す「失われた2年」の挽回 相場操縦事件の影響で野村や大和に後れを取る

東洋経済オンライン / 2024年2月5日 7時30分

近藤雄一郎社長(右)はSMBC日興のビジネス変革を吉岡秀二専務に託す(撮影:今井康一)

SMBC日興証券は1月31日、4月1日付で近藤雄一郎社長CEO(61)が退任し、吉岡秀二専務(59)が後任の社長CEOに就任する人事を発表した。近藤社長は会長にはつかず川嵜靖之・現会長とともに特別顧問に退く。

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証券取引所の外で行われる「ブロックオファー」取引をめぐり違法な株価操縦が行われたとして、法人としてのSMBC日興が起訴されてから2年弱。「内部管理体制の強化など再建の道筋がついた」(近藤社長)としてトップ交代に踏み切る。

日経平均株価の上昇や新NISA(少額投資非課税制度)のスタートと、証券会社のビジネスに追い風が吹く中、SMBC日興の業績は冴えない。競争環境は激化しており、新社長がSMBC日興を成長軌道に乗せられるかが焦点になる。

「メドがついたら退任」から1年超

「健全な企業文化の形成に終わりはない。現場から経営まで高いインテグリティ(誠実さ)を持つことに尽きる」

吉岡専務は記者会見の冒頭でこのように語り、相場操縦事件を受けた社内の再発防止策から説明を始めた。SMBC日興の有罪判決は昨年2月に確定したが、元幹部の裁判は今も続いている。問題を過去のものとして片付けられない状態を物語る。

2020年に就任した近藤社長は、在任期間中に相場操縦が行われ、法人としての刑事責任まで認定されたにもかかわらず、社長を続けざるをえなかった。

2022年10月に金融庁から3カ月間の一部業務停止命令を受けた際に「再生の道筋にメドがついた頃には身を引く」としたものの、1年以上の年月が経っていた。退任がなかなか決まらなかった状況について、ほかの証券会社幹部は「針のむしろ状態。見ていて気の毒だった」と慮る。

その間、コンプライアンス部門の人員増強や内部管理体制強化のシステム投資100億円などの体制整備を行った。それと同時に近藤社長が取り組んだのが、弁護士による調査報告書で指摘された「他人事意識や消極姿勢」といった企業風土の改善だ。

社長自ら全国の営業店を回り、社員との意見交換に力を入れた。事前質問のすりあわせをしないなど、できるだけ本音を言いやすい環境を作るために心がけたという。

体制再構築の一方で失った「推進力」

吉岡専務は1988年に旧・日興証券に入社した「生え抜き」ではあるものの、事件発覚時は三井住友銀行に在籍していた。事件後にSMBC日興に戻り、大きく揺らいだエクイティ部門の立て直しに取り組んだ。

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