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SMBC日興の次期社長が期す「失われた2年」の挽回 相場操縦事件の影響で野村や大和に後れを取る

東洋経済オンライン / 2024年2月5日 7時30分

退職者が相次ぎ、組織を再構築する必要がある中で重視したのがやはり「社内コミュニケーションの強化」だ。会見では「社員の本当の声に耳を傾けることが不可欠だ」と語った。

ただ、この間に失ったものは大きい。そのひとつが個人投資家などを対象とする営業(リテール)部門の「推進力」だ。野村ホールディングスや大和証券グループ本社といったライバルと業績を比較すると影響度がみえてくる。

2023年4~12月期の同部門利益は野村が839億円、大和が381億円といずれも久々の高水準だったのに対し、SMBC日興は9億円の営業赤字に沈んだ。投資銀行やホールセールの分野では他社と遜色のない業績なだけに、営業部門の劣勢が際立つ。

ポイントは各社が進める「資産管理型ビジネスへの移行」を利益に結びつけられているかだ。

証券業界では、株取引にかかる手数料収入中心のビジネスから、顧客の資産増加に応じて報酬を受け取るビジネスへの移行が懸案になっている。

取引さえしてくれれば顧客が損を出しても問題ないといった従来型ビジネスでは、顧客本位とは言えないという反省が背景にある。さらにSBIや楽天などネット証券を筆頭に手数料の引き下げが続き、手数料ゼロ時代へ突入していることも大きい。

1月30日の決算会見では、営業部門の利益が上がらない理由を問われた場面があった。

質問に吉岡専務は「(株取引の委託手数料中心の)フロー収益偏重から資産管理型ビジネスへの変革を進めている。中長期的に寄り添うコンサルティングは(親会社の)三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)との親和性が高い」と答えた。が、同時に「業績拡大には相当の時間がかかる」ことも認めた。

SMFGとの協力関係をどうする

一方、1月31日の第3四半期決算会見で野村や大和は資産管理型ビジネスへの移行についての自信をにじませた。

野村の北村巧CFOは「昔に比べてストック収入が増えて業績の安定性は高まっている」と発言。大和の佐藤英二CFOも「利益の質が向上していることに手応えを感じている」と述べた。

野村はこうした自信を背景に、1月31日に1000億円を上限とする大幅な自己株買いを発表。発表翌日の株価は2015年8月以来の高値をつけた。

大和も7年間トップを務めた中田誠司社長が4月に退任することを発表済み。後任を中田社長のもと構造改革に取り組んできた荻野明彦副社長が引き継ぐ。荻野副社長は「中田社長が作った流れを進化・加速させる」(昨年12月22日の会見)と、現路線を踏襲するとの意向を示す。

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