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親が悩む「性教育」先進校の事例でヒントを探った 6年間で約60時間のカリキュラムを実施する

東洋経済オンライン / 2024年2月6日 11時30分

「これは和光幼稚園で行っている『からだのはなし』で自分のからだは自分だけのもので、自分のからだをどうするかは自分が決める、という意識を育み、幼稚園で子どもが着替える場所など生活の場面で配慮をしていることが大きく影響している」と北山さん。

また、ふざけてズボンを下ろしたりする「性的いじめ」についても、2009年当時は「遊びでやる」ことに抵抗がない子どもたちがいたが、今は「それはいじめだ」「ぜったいいけない」と考える子どもが圧倒的多数だ。

「ただ、なかには、それらの行為をセクハラだと思わない子もいる。それぞれの子どもが考えることを受け止めた上で、やられた側がどのように感じるかに思いを馳せることで改めて考え合うようにしている」(北山さん)ことは欠かさない。

性教育を始めたきっかけ

同校の性教育の歴史は長い。

北山さんが和光小学校に着任した1984年には、すでに2年生で「人の誕生」、5年生で「二次性徴」の授業を行っていた。

とはいえ、「当時の2年生の誕生の授業は、友だちの親にその子の赤ちゃんの頃のことを聞き取り、友だちの絵本を作るということや、クラスでお誕生日会を行い、聞き取りの中で赤ちゃんの誕生にまつわる疑問を出し合い、おなかの中の赤ちゃんの様子や出産の様子、時には『いのちの素はどうやってできるの?』という疑問に答える形で授業を行っていた。ただ、今思い返せば、子どもの疑問に答えることが中心で、系統的にどのように性教育を行うか、ということはできていなかった」と北山さんは40年前を振り返る。

その後、大きな転機となったのが2000年代初頭。5年生の「思春期に向かうわたしたちのからだ」の単元でアンケートを採ったとき、「スカートを履いてみたい」という男子児童の声をきっかけに、当時、北山さんが勤務していた和光鶴川小学校にトランスジェンダーの方を講師として迎えて、特別授業を行った。

この授業は保護者にも声をかけ、20名以上の保護者が参加。子どもたちは性別違和を感じる当事者の話に真剣に耳を傾け、保護者もまた共に学ぶ機会となった。

「この授業をきっかけに、性教育に取り組むことの必要性を感じた」(北山さん)

文部科学省はおよそ10年ごとに学習指導要領を改訂しているが、和光小学校・和光鶴川小学校は10年に1度教育課程の改訂(カリキュラムの再編)を行っている。2006年度の改訂再編で、総合学習に学年別テーマとは別に、全学年が取り組む領域別テーマを設けた。その1つが「異文化国際理解教育」、もう1つが「こころとからだの学習(性教育)」だった。

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