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親が悩む「性教育」先進校の事例でヒントを探った 6年間で約60時間のカリキュラムを実施する

東洋経済オンライン / 2024年2月6日 11時30分

ユネスコが世界保健機関(WHO)などと共同で包括的性教育の指針を示した「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」を発表したのが2009年。それよりも3年早い。

日本において性教育はタブー視される傾向にあり、内容や表現などに対してバッシングや指摘がしばしば起きる。

カリキュラムを自主編成し、教育づくりに保護者も関わることのある同校でも、まだ「LGBTQ」だけでなく「性同一性障害」という言葉も浸透していない当時、トランスジェンダー当事者に来ていただいての特別授業には教員の中にも戸惑いの声があった。

それでも「性教育を受けると子どもが変わり、人との関係が変わる。自分を大事にしようと思うようになる」と、目の前で子どもの変化を見てきた北山さんに迷いはなかった。

2年生の「たんじょう」の授業で出産や性交・受精の授業は保護者にも公開し、子どもたちが自分はどのようにして生まれてきたのかを科学的に学ぶ姿に感動の声が寄せられたことも、この実践に確信を持つことにつながった。

2014年、北山さんが和光小学校の校長に就任すると、プロジェクトチームを作り、2017年に和光小学校でもカリキュラムをつくり上げた。

教える側も真剣に勉強する必要がある

和光小学校、和光鶴川小学校での性教育の授業は、養護教諭がフォローしつつも、メインで担当するのはクラス担任だ。

例えば、月経や射精もクラス全員で学ぶ。月経の授業では生理用ナプキンで吸水性の実験を行ったり、多くの水分を含んだナプキンは冷たくからだが冷えることなど実感を伴って学ぶ授業づくりを、養護教諭と担任が連携して行っている。

「性教育は、教える側も真剣に性教育について勉強し、向き合う必要がある。いくら詳しい授業案を共有したとしても、教える側がその教材の内容を深いところで理解していないと、子どもたちに『今日なんか気持ち悪いこと習った』という印象しか残らなかったり、授業そのものを茶化してしまい、本当に大切なことが伝えられなかったりする」と北山さん。

これから性教育をしようと考えている家庭や教育現場にとっては、身につまされる。

「自分自身が性差別意識を持っていたり、ジェンダーバイアスがかかっていたり、そもそも性教育はいかがわしいものだと思っていたりすると、それが言葉や態度に出てしまうことがある。自分自身のセクシュアリティが問われているのが性教育」と、教える側の覚悟や人間性まで重要になると北山さんは言う。

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