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雨風太陽がNPO出身企業で"日本初"インパクトIPO 産直EC"ポケマル"「都市と地方をかきまぜる」

東洋経済オンライン / 2024年2月6日 12時30分

上場報告会では高橋さんの地元である岩手県内の報道機関向けの撮影も(写真:筆者撮影)

2023年12月、岩手県花巻市で産直ECサイト「ポケットマルシェ」の運営を手がける「雨風太陽」(高橋博之代表)が東証グロース市場に上場した。

【画像で見る】日本最大級の産直通販サイト「ポケットマルシェ(ポケマル)」とは?

もともとは東日本大震災を機に生まれたNPO法人で、「都市と地方をかきまぜる」をミッションに掲げる。

上場にあたっては、利益の創出と社会課題の解決を両輪で目指す「インパクトIPO」の手法を選択。「ポケットマルシェ」で消費者から生産者に支払われる金額や、消費者が生産者のもとで滞在する日数などを「インパクト指標」に設定する。

NPOから始まった法人が「インパクトIPO」で上場するのは、同社が日本初。代表の高橋博之さんは「IPOは仲間づくり。被災地で芽を出した希望の種が日本社会全体の希望となるステージに立てた」と上場の意味を語る。

原点は東日本大震災 県議から知事選に出馬

「昨年に続き購入しました」「とっても美味しかったです!」

雨風太陽が運営する日本初の産直プラットフォーム「ポケットマルシェ」(以下ポケマル)の生産者のページには購入したユーザーからの写真付きのコメントが並び、その下には生産者からの返信が投稿されている。

雨風太陽の事業は、ポケマルのほかに、ユーザーが生産者のもとを訪問するツアー事業「ポケマルおやこ地方留学」、食材付き情報誌『食べる通信』、「ポケマルふるさと納税」が主な柱だ。

農業や漁業の生産者と消費者を直接つなげるポケマルの原点は、東日本大震災直後に高橋さんが駆けつけた被災地にあった。

当時、高橋さんは当選2回目の岩手県議で、地元は岩手県内陸部の花巻市。地元からの支援物資を積み込み、津波で甚大な被害を受けた沿岸部へ。車上生活を送りながら、岩手県大槌町を中心に炊き出しなどのボランティア活動を続けた。

議員活動を通じて農家の声を聞き、食を支える一次産業の重要性を感じていた高橋さん。家族を亡くし家や船を失っても「津波を恨んではいない」と海の仕事に戻ろうとする漁師たちの姿に衝撃を受け、被災地のために働こうと心に誓った。

「復興をけん引するリーダーになる」。そう直感し、誰にも相談せず岩手県知事選への出馬を決意。被災地を歩いて遊説した。結果は敗北。この時の政界引退というキャリアチェンジが、後の「雨風太陽」へとつながっていく。

被災地の光景から「関係人口」を事業に

その後も、いち民間人として支援活動を続けた。すると、そこには都会から被災地に通い、漁師や住民たちと一緒に炊き出しをし、がれき撤去に励むボランティアの姿があった。

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