1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

雨風太陽がNPO出身企業で"日本初"インパクトIPO 産直EC"ポケマル"「都市と地方をかきまぜる」

東洋経済オンライン / 2024年2月6日 12時30分

高橋さんが掲げたミッション「都市と地方をかきまぜる」がまさに目の前で動き出したのだ。『食べる通信』の取り組みは共感を呼び、全国から「うちの地域でもやりたい」との声が上がり、国内では最大55地域に広がっていった。

資本主義のど真ん中で社会を変える

一方で、生産者を取材し媒体を発行するのは月1回が限界。生まれたムーブメントをもっと大きなものにするためには、もっと多くの生産者の情報をリアルタイムに発信することも必要だった。

そのため生産者が写真や言葉で自身の生産物を伝え、消費者が購入できる仕組みの検討を始めると、再び高橋さんのもとにはマーケティングや企業経営などさまざまな分野に携わる人が集まり、知恵を貸してくれた。

そのことが産直ECのさきがけとなる「ポケマル」誕生につながっていく。

株式会社化を経て、2016年にオープンしたポケマルは、生産者がスマホで価格や個数などの情報を登録するだけで出品できる手軽さが特徴だ。受注すると自動的に伝票が発行され、生産者は直接ユーザーに発送する。

ユーザーは生産者のページに感想や御礼の投稿ができるほか、生産者にダイレクトメッセージを送ることもできる。その結果、コミュニケーションが活発になり、リピーターも増えたという。

ユーザーは2020年に5万2000人ほどだったが、コロナ禍を経た2023年には73万人に増加。登録している生産者も2000人から8100人へと4倍までに増えた。

ポケマルのトップページには各地の生産者の商品のほか、災害や豪雪、異常高温などで被害を受けた生産者を応援するキャンペーン商品も並ぶ。

上場を視野に入れたのは、巣ごもり需要で売上が伸び、産直ECの認知度も上昇したコロナ禍渦中のこと。社会を疲弊させている要因である資本主義を批判してきた高橋さんだったが、社外取締役でユーグレナ元CEOの永田暁彦さんのひと言に上場への背中を押された。

「博之さんは橋の下で『社会を変える』と歌っているようにしか見えない。本当に社会を変えるなら武道館を目指すべきじゃないですか」。

自社を上場させた経験を持つ永田さんの言葉で、高橋さんは腹をくくった。

「それまでは資本主義が世の中を悪くしていると言ってきたけれど、資本主義のど真ん中でこの社会を変えるっていう挑戦をね、真剣にやらなきゃあかんなという気になってきましたよね」と振り返る。

折しも、SDGsの考え方が浸透するとともに、企業が事業を通じて社会課題の解決と利益追求の両方を目指すCSVやインパクト投資、ソーシャルインパクトなどの考え方が日本にも広がり始めた時期でもあった。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください